こだわり抜いて育てた野菜が身近にあってほしい。(3)安生 俊一さん / Bal CHATEO
- インタビュー・構成:千葉裕平
- 2015年11月30日
- 読了時間: 6分

自分たちから盛り上がっていく
――安生さんは柏の街についてはどう思っていますか?
すごい魅力的な街だと思いますよ。個人店も多いし、駅からワンブロックくらい離れたところだと隠れたお店とかあるし。飲食店に限らず、アパレルとか美容院とかおしゃれなお店とか、実はこだわりのあるお店がたくさんあると思います。
でも実際そのリーダーにはなりたいわけではなくて、何でもない店、それの一部でいいんですよ、僕は。
――地域のブランディングなどには興味はありますか?
それは全然興味にないっていうか、そういうのが好きな人たちがやればいいと思うんですが。
でも、やっぱり柏の外からここを選んできてほしいんですよね。現状だと、都内に行けば何かしらあるから、都内に行っちゃうんですよ。そうじゃなくて、逆に都内の人が、目指してきてくれるようなお店を作りたい。
柏にも、もっとお客さんが来ていいんだけどなって店があるんですけど、そういうところは当然、露出がないんですね。もったいないです。
――では、どう盛り上がっていきたい?
行政がやるイベントとかも、僕的には退屈で。じゃなくて、こっちが主導で盛り上げてしまいたい。例えば、大きなことをやろうと端から行政に、お金、資金を貰ってやるイベントじゃなくて。小さなイベントであっても、自力で盛り上げて、それに行政が例えば目をつけてもらって、こっち主導でやりたい。
――今そしてこれからのご自身の活動にはどういう思いがありますか?
自分の近くの人たちが、まず楽しんで、自分とスタッフたち、あとはそれについてきてくれた人たちが楽しんで、やればまあ、お客様には楽しさは伝わるじゃないですか?
そうすると、飲食店っていう業種としてのよくない印象が変わるかなと。例えば、就職先が飲食店っていうのは、他の企業に比べてイメージはよくないんじゃないですか?拘束時間長いけれど、賃金は安いとか。そういうイメージを変えたい。
すごいエリートの人が働きたいって思えるとか、あとは、起業したい、何か自分でやってみたいっていう、意欲がどんどん湧いてくるような、そういうところにしたいんです。
――野菜についてはどういう思いがありますか?
うちが作った野菜をうちだけ独り占めするよりも、知ってほしい、ていうか身近にあっていいと思うんですよね。
例えば、他のお店の人たちが、この野菜を使ってくれれば、それを食べてくれるお客さんたちも、「なにこれ、美味しいね」と思ってくれる。味は絶対違うので、スーパーで仕入れてる野菜とは。
――CHATEOに来るお客様には野菜に興味・関心がある方も多いんじゃないですか?
そうですね。農業とか野菜の話を聞きに来るお客様もいますね。そしたら「今度、畑行ってみたいです」ってFacebookとかでメッセージをくれたりとか、そのお店に来たことがない方でも、畑に来てくれたりする時もありますね。
“Bal CHATEO”と“Table beet”
――今後、安生さんは活動をどのように展開してゆきたいですか?
実は、12月に2軒目を開くんです。“Table beet”(テーブルビート)っていう名前の八百屋レストランです。
その八百屋のところに全部、野菜を集めて、今までのらさんにお願いして、週2回配送していた部分のものはなくなるので、今度は飲食店の人たちが、お店に買いに来る形に。そして一般のお客さんについてもこちらから、その野菜の使い方などを教えながら売ります。
ちなみに、配送という形は、野菜を売るために、いろいろ試して行きついた形だったのですが、飲食店に野菜を納めてた時に、外の業者みたいに扱われることがあって。これでは意味がない、こちらの「土俵」で僕のやり方を理解した上で買ってもらいたいと思って。
――Table beetが安生さんの「土俵」になるのですね。
そうですね。自分の「土俵」でできるんで。それがもう、絶対ですね。あとは、Bal CHATEOだけでは表現できなかったことができるっていうところが大きいですね。
Bal CHATEOは夜しかやってないんですけど、お客さんの声を聞いていると、お昼の時間帯もすごく、求められてるなって。外での出店は、基本お昼のイベントなんで、そこに来る年代の方は、子供が小さかったりして、夜はあまり出られないから。

――お客さんに求められることに答えてゆくって感じですか?
そうですね。Bal CHATEOはお昼の色味ではないので。でも、自分の中での2つのお店の距離は近くて、2つで1つみたいな感じです。
――Table beetの開店のためのスタッフはどのように集められるのですか?
もうすでに、必要人数は集まっていて、前の職場で僕が店長だった時の2番手の人を引き抜いたり、普段やってるお店に来てくれたりだとか、イベントだとか出店だとかにも顔を出してくれる人とかがなってくれるとか、畑にも入ってくれるとか。
スタッフが集まらなかった場合の最終手段として一般公募があったのですが、説得しちゃったからか分からないですけど、声かけた人全員が来てくれるって言ってくれました。
――スタッフに求めるものは何ですか?
ただ稼ぎたいとか、ただ、飲食に興味がありますだけだとちょっとダメで、今僕がやってることに対して魅力的だと感じてくれることが一番ですね。全然、総合的に興味があるとかじゃなくても、部分的でもいいですけど。
とにかくやってる活動に対して興味があって、近くに寄ってきてくれる人に声をかけました。
――安生さんもTable beetには立たれるんですか?
基本的に僕はBal CHATEOの方にいるんですが、Table beetにも野菜の納品とかには行きますし、日中とかにいるのかな?Table beetの方は、今の料理長と、店長としては引き抜きした人にお願いしています。僕と料理長がどっちも行っちゃうと、今度はこっちが不安なんですよ。
――Table beetの開店時間は?
モーニングもやるので、朝7時から夜の11時までです。僕もそのどこかしらでいたいですね。
――農業の方も忙しいのに、いつ寝るんですか(笑)?
どこにしようかなって感じですね(笑)。どっかのタイミングで寝てって感じですかね。
起業する方へのメッセージ
――安生さん、起業する方へのメッセージをお願いします。
自分の場合は、そうするしかなかったか、起業しただけで、しないで済む性格だったらしてないですね。なので、起業はお勧めしません。
――なるほど(笑)。
選べる人はどっちでもいいのかなって。勤めてもいいし、起業してもいいし、選べるんだから。まあ、強いて言うなら、起業している人にも2つのパターンがあるかなって思うんですよ。
目標を達成する人のために、頭を下げる人もいるじゃないですか、起業して自分でトップでやってるのに。もう1つは、自分のわがままを通し続ける人なんですよね。後者しかできないんです、自分は。わがままをどこまで通せるかかが勝負になると思います、たぶん。それができなかったら起業してないです。

TEL: 04-7197-5839
営業時間:18:00〜5:00
定休日:なし
安生俊一さんインタビュー
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