仲間とともに「世界一愛される会社」を目指す。(1) 渋谷 修太さん /FULLER
- 椎名美季
- 2016年1月14日
- 読了時間: 5分

FULLER(フラー)は、2011年に渋谷修太さんが高専時代や大学時代の仲間を集めて起こしたIT企業だ。大学近くの一軒家で共同生活をしながら開発していた時期を経て、現在は柏の葉にオフィスを構えている。魅力的なスマートフォンアプリや独自のデータ分析サービスを武器に急成長を続け、世界に向けて羽ばたきつつある。 夢をもつ人が好きで仲間を何より大切にする渋谷さんに、FULLERのこれまでとこれからを語っていただいた。
アプリとデータ分析――リンクした一つのビジネスモデル
――FULLERではどのようなサービスを提供されているんですか?
うちはスマートフォンアプリの事業と、アプリをつくっている人をサポートするデータの分析の事業を展開しています。
――アプリの事業にはどんな特徴がありますか?
基本的に、スマートフォン端末をより便利に使う、というところに重きを置いています。 みんながどのアプリをどのくらい使っているのかを見る仕組みが入っていて、あんまり使ってないのに電池消費しているアプリとか、消した方がいいアプリをお知らせしたり、逆に便利なアプリをおすすめしたりします。あとは、自分が持っているアプリを使い過ぎちゃってないかをチェックするようなものもあります。
――気をつかった点や工夫した点はありますか?
デザイン面ですね。かわいいキャラクターを使うことで、機械に詳しくない人でも、使ってて楽しいと思ってもらえるようにしました。
スマートフォン端末を管理するアプリって他にもいっぱいあるんですが、僕らのはすごくかわいいおじさんのキャラクターを使っていて、アプリを入れるとおじさんが太っちゃうっていう仕様にして、アンインストールとかタスクキラーとか、難しい言葉を使わずにわかりやすく伝わるようにしました。
わかりやすく伝えるってすごく大事で、「情報に命を宿してみんなにわかりやすくする」というのが僕らの一つのミッションだと思っています。
――では、データ分析事業は具体的にどのようなものなのでしょうか?
App Apeというサービスで、どのアプリがどのくらい使われているのかというデータをアプリを開発している企業に向けて提供するというものです。
単純にアプリをインストールしている人の数ではなくて、実際にそれを利用している人の数や、その割合、性別などがわかるようになっていて、アプリ開発企業はこれを競合調査や市場調査に使います。
――そのデータはどのように集めているんですか?
当社のアプリのユーザーから承諾をもらった上で、アプリ利用状況に関するデータを匿名化してデータベースに集めています。
そのデータは一人分だけだと単純にその人の利用状況なんですが、いっぱい集まってくると、テレビの視聴率と同じようなものになるんです。
テレビの視聴率によってどの番組がどのくらい見られているかがわかって、広告の値段が決まりますよね。これのスマートフォン版をやっているようなイメージです。
つまりこれは当社のアプリとリンクした一つのビジネスモデルなんです。
――アプリの視聴率を提供するというサービスは国内初だとうかがいました。
そうですね。2年ぐらい前からやってます。
――どのくらいの数の企業が利用しているのですか?
今、無料版を使ってるのが5000社ぐらいで、有料版で使ってるのが60社超えたぐらいかな。
――利用しているのはどんな企業ですか?
すごくメジャーな会社さんも多いです。
通信キャリアさんとか、コロプラ、DNA、楽天、リクルート、LINE……他にもアプリを出しているいろいろな会社が利用してくれています。
――たくさん大手の顧客を獲得されているんですね。PRはどのようにしているんですか。
うちはApp Ape Labっていうメディアをやっていて、そこで自社で分析したデータをWEB上の記事にするんです。それで記事を見て、もっとこういうデータが見たいとApp Apeのデータに興味を持ってくれたお客さんから、お問い合わせをいただくといった形ですね。
あとはイベントにブースを出したりもしています。
営業ももちろんしているんですが、どちらかというと問い合わせが来たのに対して売る、といったスタイルです。
おじさんアプリのシリーズ累計ダウンロード数は100万を超えた。
「1つのアプリをつくるのではなく、もうちょっと俯瞰的に見たかったんです。」
――企業と企業の間や、企業と消費者の間をつなぐアイデアというのはどういったところから生まれてきたのでしょうか?
僕は以前GREEで働いてたんですが、僕自身が働いている中でマーケティングのためにこういうデータが欲しいなって思ったんです。また、そういうデータを提供すれば、GREEだけでなくいろいろな会社が欲しがるだろうなと思いました。
あと、当時スマートフォンが出てきたタイミングで、僕くらいの世代でベンチャーを立ち上げる人がいっぱいいたんですよ。4年前くらいかな。当時はカメラアプリとか、いろいろな○○アプリをつくるようなのが流行ってました。
でも僕は、1個のアプリをつくるとか、SNSをつくるとかではなくて、もうちょっと大きな目線で、もうちょっと俯瞰的に見たかったんです。根幹部分になるようなことがやりたかったというか。
――データ分析事業だけではなく、アプリ事業に関しても俯瞰したい、というような思いがあるのでしょうか?
そうですね。端末全体を見たい、っていう感覚があります。
――なるほど。両者の事業に通底しているんですね。
そうですね。あと、インターネットの世界で勝負していく上で、データってすごい大事だなって思っていました。
Googleとか、Amazon、Facebookみたいな今の時代にインターネットの世界で勝っている会社って、みんなすごく貴重なデータを持っているんです。
Googleだったらみんなが何を検索しているかわかるから、それに合わせて広告を出していたりしていますし、Amazonだったら誰が何を買ってるかわかるから、それにあわせて商品を勧めたり、最近ではプライベートブランドで製品を作っていますよね。Facebookの場合は、みんなの性別や年齢、交友関係、個人の興味みたいなとてもパーソナルなデータが集まっていくから、すごく強いです。
僕が会社を立ち上げたころ、アメリカではData is King―とか言われていて。
だから僕も、貴重なデータを集めてビジネスに活用するというのは最初から決めていました。
仲間とともに「世界一愛される会社」を目指す。(1) 渋谷 修太さん /FULLER
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