top of page

柏で、誰にも真似できない店を(1) 芳村 剛さん/活イカ料理 割烹 いっか


JR柏駅東口から徒歩5分、市役所近くにある「いっか」は、世にも珍しいイカ料理専門店だ。8年前の開店以来、多くのメディアに取り上げられるなど全国区で話題をさらっている。亭主の芳村剛さんに、イカへのこだわりや、なぜイカで店を出そうと思ったのか、そして経営者としての心構えを伺った。

活イカは、もう別格です

──まず最初に、イカへのこだわりについて教えて下さい。

私どもは、活イカをご提供しています。身はとても透明で、甘みや食感は死んでしまったものとまったく違います。死んでしまうと粘りと臭いがでてきてしまうので。別格ですね。

──どうやって生きたままお店に持ってきているのですか。

産地から直接買い付け、いけすに入れ、トラックで運んでます。それで生きたまま水槽に入れて、捌いてすぐのものをお客様に提供します。うちは年間の約半分は佐賀県の呼子というイカの街として有名な場所から剣先イカを仕入れておりますが、それをいけすトラックで運んでる最東端の店だと思います。

イカって生きたまま運ぶのが難しくて、内陸で食べられるようになったのって10年前くらいからなんですよ。とにかくストレスに弱くて、店に来る途中に死んでしまったり、届いて水槽に放したら、次の日の朝にはみんな浮いちゃっていたりするので。そうしたらもう価値がなくなってしまうので、本当に難しいです。

──知りませんでした。イカってデリケートなんですね。

水槽の管理も大変です。えさをあげると水が汚くなるからあげられないし、ほぼ毎回海水を入れ替えないといけませんし、どんなに綺麗に保っていても4日くらいで死んでしまいます。共食いしたりもしますし。イカは弱いです。水族館でもほとんど見ることはありませんよね。

今はマグロが養殖できる時代ですが、イカはいまだにできません。生態がよくわかっていないんです。

──死んでしまったイカはどうするんですか。

ランチで天丼として提供しています。死んでしまったと言えば聞こえは悪いですが、それでも普通に食べるイカよりはだいぶ新鮮ですよ(笑)

──普通は市場に出てる時にはすでに死んでて、それを食べるまでにはさらに時間がかかりますもんね。

経営的な話をすると、そういう死んだイカも活かしていかないと大変なんですよ。原価率は本当に高いので。

──季節によってイカを変えたりはしてますか。

冬は呼子から剣先イカ、あと長崎からアオリイカ。夏は北海道や青森からスルメイカを取っています。

例えば今入ってる剣先イカは、盛った時に本当に真透明で、見た目もすごい美しいです。それぞれのイカごとに、味わいは大きく変わります。

──私はランチでイカの漬け丼を頂きましたが、食べたことないくらい美味しかったです。

それは甲イカを使っていて、生で仕入れて、食感と透明感が失われないように漬け込んじゃうんです。

それと、ランチでこだわっているのは注文していただいてから10分以内に提供することです。1時間しかないお昼休みにわざわざ歩いて来ていただいてて、20〜30分かけて召し上がっていただくためには、それなりに早く出さないといけないと思っています。

──たしかに、出てくるのがすごく早く感じました。

それでも注文をいただいてから天ぷらも揚げますし、常に温かいお味噌汁を提供したり、そういうところは心がけていますね。そうしないと、一般の定食屋と一緒になってしまうので。

イカをアレンジしたメニューがこれだけあるのは珍しいと思う

──料理のバリエーションが豊かですね。

どんどんメニューは考えて、入れ替えてます。産地の方のお店でも、イカをアレンジしたメニューはイカシューマイくらいしかないので、これだけメニューがあるのは珍しいと思います。

最近人気なのは、イカをすり身にし、中に生イカをまぜ、それをフライにしたものですね。名前を「いか団子コロッケ」にして、『リビングかしわ』という雑誌の「千葉県コロッケ選手権」っていうのに出したら、なんと金賞をいただきました。

──すごいですね。変わり種もそうですが、定番のメニューも揃ってますよね。

特に塩辛にはこだわってて、イカを半干しにして皮を剥かずに輪切りにして、そこに2日間かけて作った自家製の甘酒を入れて発酵させて作ってます。「イカ好きの、イカ好きによる、イカ好きのための、イカ屋が作った塩辛」です。お店で出すだけではなくて、お持ち帰りもしていただいています。

──お酒にもかなり力を入れていらっしゃいますよね。

はい、日本酒は酒蔵に出向いたり試飲会などに行って、いろんな酒屋さんとの付き合いを広げています。今では「いっかさんに限定の酒を作ったから」と言われるようにもなりました。あと、サントリーさんのプレミアムモルツの超達人店というのにもなっています。

──店の内装にもこだわりを感じます。しっとりとした感じでまとめていらっしゃいますね。

そうですね。ちょっと和っぽく、ちょっとモダンな感じも出しながら考えました。店のBGMはいつもジャズですね。雰囲気が出るのでその方がいいかなあと思って、まったく興味はないんですけどね(笑)

──店のロゴもイカがあしらわれています。

これは、うちの母親に書いてみてって言ったらこういう風にできたんですよね。かわいいでしょ、こういうの。

活イカ料理 割烹いっか/芳村 剛さんインタビュー

Featured Posts
Recent Posts
Archive
Search By Tags
まだタグはありません。
Follow Us
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page