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畑を支えるみなさんに、こだわり野菜をお届けする。(1) 今村 直美さん・細渕 有里さん /わが家のやおやさん 風の色


大学を卒業してから新規就農した、今村直美さんと細渕有里さんの二人が経営する「わが家のやおやさん 風の色」。「野菜を届ける家の身近なやおやさんになりたい」というコンセプトで、農薬や化学肥料を使わずに栽培した多品目の野菜を、CSA(community supported agriculture 地域支援型農業)という考えのもとに年間契約した消費者に、直接届けている。そんなお二人に、野菜へのこだわりや起業までのプロセス、そして周囲の人々とのつながりについて、お話を伺った。

年間契約した人たちに野菜を直接配達

--まず、現在年間契約されている方というのは、どのような客層が多いんでしょうか?

細渕さん(以下、細):最初は、どちらかというと年配の方が多かったような印象なんですけど、最近は、赤ちゃんが生まれたっていう若いお客様もいて、ちょっと年齢が下がってきているような印象を受けますね。

--そういう年間契約される方っていうのは、風の色さんの情報を、どのような形でお知りになるんですか?

細:口コミが多くて、最初のきっかけの一つが柏の葉の十余二小っていう小学校でやっていた、食育の授業というかイベントです。そこで農家の話を二人でお話しさせていただいたんです。

今村さん(以下、今):子供が通っている十余二小でいろいろな活動をされている知り合いの方がいたんですが、子供たちにいろんな経験をさせたいっていう中で、フードコミュニケーターの方を講師として料理教室をやったんです。

そこに私たちが料理教室で使う野菜を持って行って、その野菜をどうやって育てたか話すと、トータルで食にアプローチできるじゃないですか。そしたらそこに来てくれたお母さんが、「あの野菜おいしかったから食べたい」ってなって、そこから一気に広がっていきました。

細:他にも、今村さんが別のイベントに行ったときに知り合いになった人だったりとか、あとは畑に一回来てくださって、そこで作業とか一緒にしたところで、ちょっと関係ができたりとか。

--じゃあ、ネットとかそういうのよりも、face to faceで知っていくっていうパターンが多いんですね。

細:最初はポスティングとかをいろんなマンションでやったんですけど、それはもう全然反応がなくって、やっぱり直接会う方がいいですね。

--メンバーになっているのは、柏・我孫子近辺の方が多いんですか?

今:半々ぐらいかな。配達しているエリアは、我孫子・柏のほかに、松戸や他の地域もあるかな。

細:あと、流山もですね。

今:近隣のエリアが半分で、あとは神奈川と、東京、あとは四街道とか。ちょっと離れている方には、宅急便で。

--近隣の方には基本的には配達ですか?

今:そうですね。遠いところはしょうがないんですけど、届けられる範囲の人たちには、直接持っていきますね。今直接届けてるのは20軒ぐらいですね。

--野菜は隔週で届けてるんですよね?

今:そうですね。前は毎週っていうのもあったんですけど、毎週ドサッて送ると食べきれなくって、結局無駄になっちゃうっていう声があったので、じゃあもう思い切って隔週で届けようって。

--野菜は何種類ぐらい栽培されているんですか?

今:60種ぐらいかな?ちゃんと数えたことはないけど、まあ、60ぐらいかな。

細:もうちょっとある(笑)

今:もうちょっとあるかな(笑)

--そういう風に少量多品目でやっていくっていうことにこだわりがあるんですか?

細:私たちの場合、買ってくださる方とお話しするチャンスが結構多いので、そういう時に、例えば、「来年これが食べたい」とか、「こういう野菜を入れてほしい」とかっていうのを聞くんですよ。

それで、カボチャでも今年はスクナカボチャっていう細長い大っきいカボチャを入れてるんですけど、それはなかなか売ってない品種なので、すごく喜ばれたりして、そういうのはこれから増やしていきたいですね。

小松菜とかでも、F1 (注:異なる系統や品種の親を交配して得られる作物や家畜の優良品種のことで、現在の日本の市販野菜の多くはF1品種) っていう、一般的に売られているような、ああいうシュッとした小松菜と、あと在来種っていうちょっとずんぐりしたような小松菜があるんですね。

それで、宅配にその二種類を入れて、これはこういう在来の小松菜ですよっていう説明も一緒に送るとやっぱり、「そういうのもあるんだ」っていうふうに楽しんでくださるんですよ。そういう感じで、同じ野菜だけれど、そういうちょっとした楽しみというか、そういうのも取り入れていけたらいいなと思っています。

--スーパーでは手に入らないものっていうのも入れてらっしゃるんですね。

今:ちょっと付け加えると、在来品種っていうのは、形がちょっと不揃いであったり、見た目がちょっと悪かったりするケースが多いので、流通に乗せにくいんですよ。でも、やっぱり味がいいとか、そこの地域に根差した品種であることが多くて、そこに価値があるかなっていうふうに思いますね。

その価値を共有できるっていうことが、ただ単に野菜を買っているということだけじゃない、プラスアルファの、在来品種とかその地域を守るっていうことに、お客さんが気づくっていう、そこが大事だと思いますね。

--在来種っていうのは、改良がされていない、元の種類ってことですよね?

今:そうですね。例えば金町こかぶとか。小松菜自体も実は東京の小松川っていう場所の品種ですよね。

在来品種というのは種を取ればそのまま、次も同じものを作ることができるんですけど、F1品種というのは、メンデルの法則によって、次世代はいいものができない一代交配なんですね。それで、種が売れていくっていうことで種苗会社は開発していくわけなんです。

細:私たちも、一時は在来品種はやめてたんですよね。やっぱり、栽培量が少なかったりとか、ちょっと弱かったりすることがあって、生産量をアップさせたかった時にはしばらくやめていたんですね。

でも今年いろいろやってみて、やっぱり在来品種はおいしいですし、そういうのを守っていくことがすごく大切だなあっていうのを最近再確認したんです。

--少量多品目という営農方針はどうしてなんですか?

今:なぜ少量多品目でスタートしたかっていうと、屋号にもつけているように、私たちは届ける人たちの家のやおやさんになりたいっていうふうに思っているんですね。そこで毎回大根ばっかりとかだったらやおやさんになれないから、そこはいろんなものを作ろうと。

それから、畑の状況を想像すると、一つのものを栽培しているよりも、いろんなものを自分たちで栽培したいっていう。その方が作る私たちもおもしろいしね。飽きないよね。

細:あと、やっぱり農薬も使わないし、おんなじだけだと、一つの病気とか一つの害虫とか出ちゃうと、もう一気にやられるんですよ。

今:そういう多様性の問題からも、少量多品目の方がいいし、同じ虫が集まってくると、土壌も病気にかかりやすくなっていくみたいな。だから、一つの品目を栽培する場所も変えますし、同じ品目でも栽培する品種も変えたりします。

--栽培している野菜が多いと、そこに集まってくる虫も多様性に富んだものになりますね。

今:そういうことですね。それでまあ、補完し合うっていうか、食べたり食べられたりっていうところで、なんとなくバランスがとりやすくなっていくんですね。そういう状況を一つの畑で作り出せれば、虫とかにやられちゃうっていう農業の弱いところを、少しフォローできるんですね。

今村直美さん・細渕有里さん /わが家のやおやさん 風の色

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