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畑を支えるみなさんに、こだわり野菜をお届けする。(2) 今村 直美さん・細渕 有里さん /わが家のやおやさん 風の色


ママ友同士のつながりで土地を入手

--農地を先に入手されたのが今村さんというふうに聞いたんですけど、その農地の地主さんにはどのようにして巡り合われたんでしょうか?

今:農業やりたいと思って、畑がありそうな場所で、夫の通勤がそんなに遠くないところということで、手賀沼周辺を候補に探したんです。それで、松戸からこっちに引っ越してきたタイミングが、ちょうど娘が小学校に上がるタイミングだったんですね。そこで娘が入ったのが農村の小学校で、全学年一クラスしかなくて、全校生徒でも100人ちょっとの小学校だったんです。

それで、子供が通ってたら、ママ友ってできるじゃないですか。そこでママ友に、「自分は農業始めたいんだ」って言うと、こんな珍しい人はいないってなって、農村社会ではそういう話はわっと広がるわけですね。それで、すごくラッキーなことに、もうあっという間に、2~3週間で土地は見つかりました。

--そのママ友さんは農家の方だったんですか?

今:農家の方もいらっしゃるし、農家じゃない方もいらっしゃるんですけど、地元なので、「ばあちゃんが使ってない土地がある」とか、「ここの地主さん紹介してあげる」とか。

その農村の小学校に娘を通わせてる家っていうことで、信頼していただけたようです。

--地主さんの連絡先とかはママさんから教えてもらったんですか?

今:そうですね。あと直接行ったりもして何軒かの地主さんにあたりました。「借りたいんだけどどうですか?」って。

そこで女性だったから良かったっていうのもあるかもしれません。女性相手の方が、「やりたいんだったら貸してやるよ」っていうのが言いやすい。男性だと、がっちりスタートされて、後で返してもらいたいと思った時に大変じゃないですか。でも女の人なら「やってみれば?」みたいな。

--気軽に貸せるんですね。

今:そうですね。そういう意味では、まあなんか軽く見られてるっていうか、今思うとそうなんだけど、逆にそれは助かった部分ではありますね。

--農地を借りるのにも、やっぱり頭金とかかかりますよね。

今:それが・・・、払った?

細:少しだけ払いましたね。お歳暮とか(笑)

今:本当に使われてない土地はいっぱいあるんですよ。この辺の土地の相場として、1年間畑をお借りすると、1反(注:約10a)2万円ぐらいですね。だから、大体5反ぐらいあると、農家としてスタートするって感じなんですけど、5反合わせても10万円ぐらいで、年間借りられるんですね。

--農地は確保できて、さあ農業を始めようと思った時に一番苦労なさった点っていうのはどのあたりですか?

細:今もそうなんですけど、販売先を探すのが一番大変でしたね。最初は直売所に出してたんですね。わくわく広場とか、あとスーパーのカスミとか。

今:でも今は、直売所には出してないです。というのも、私たちは薬を使わないし、技術も低いし、虫食いだし、スーパーマーケットに同じように並べられたら、既存の農家さんにはどうやっても太刀打ちできないんですよ。

--違った良さがあると思いますけどね。

細:ただ、売り場には何となく、自分たちの野菜はこうでこうでっていうのはなかなか言いにくい雰囲気があるので、やっぱりそこの場ではちょっと伝えにくいですね。

今:そうですね。だから、その良さを伝えられるノウハウを見つけるまでが大変でしたね。

せめてできるのが、野菜に貼るシール。ロゴシールに、例えば化学肥料と薬は使っていませんってちっちゃく書くとか、その程度しかやっぱりできないんですよね。お店の方としても、一人の人だけ無農薬バアーンみたいなのを出されたら、他の農家さんとのバランスが悪いですよね。

--じゃあ風の色さんの良さっていうのは、そういう店舗販売ではなかなか伝わりにくいですね。

今:まあそうですね。だから年間契約っていう方にシフトしていきました。CSAっていうシステムがあるんですけど、原発事故も一つのきっかけになって、そういう考え方を取り入れていくようになりました。

今まで買ってくれてた人、つながっていた人たちにお手紙を書いて、こういう考えに基づいて、年間契約に移りますと。もし、それに理解を示してくださるなら、来年もお願いしますっていうふうに。で、何人かの方は残ってくださったし、じゃあここでやめますっていう方もいらっしゃったんですね。

野菜を自分の手で作るために農業の道へ

--細渕さんは、高校、大学と、農業に関する学科だったと思うんですけど、本格的に農業を始めようと決めたのは、いつ頃なんでしょうか?

細:そうですね。千葉大の農学部の別科に入学した時は何となく、農業関係かなっていうふうに思っていました。卒業した後は、八百屋さんでパートとして働いていて、そこで正社員っていう話が出てきたので、ちょっとそれもいいかなと思ったんですよ。

でも、販売してて四季が感じられなくて、なんか違うかなっていう感じがして、やっぱり自分で作ってみたいっていう気持ちがだんだん強くなってきました。

--今は八百屋さんでは、季節に関係なく何でも出てるからですか?

細:一応無農薬の野菜で何となく四季はあったんですけど、ずっとクーラーの部屋で自分が働いていて、、夏は寒くて、冬はあったかいっていう。できるものは季節を感じられるものなのに、自分は真逆の生活をしてるっていうか。

やっぱりそういうのもあってしっくりこなくて、農業の道にもう一回入ってみようかなと思って、都内で開催される「農業人フェア」で見つけた農家さんのところに研修にいったりしました。

--そこから八百屋さんの誘いは断られて、千葉大の別科でご一緒だった今村さんのところに通い始めたんですね?

細:そうですね。パートをしていた時に、家庭菜園始めたって聞いて、週一で、まあ遊びに行っていたっていうか。

今:卒業して、私が引っ越したタイミングがちょうど娘が小1の時なんですけど、1年間は、引っ越しとかでバタバタしてたし、小1ってすぐ帰ってきちゃうので、家庭菜園ぐらいしかやってなかったんですよ。

で、彼女はその間に、いろんな研修に行ったんだよね。それでだんだん気持ちが盛り上がってきて、「やっぱり農業だ」っていうね。それで、「えー、じゃあやっちゃう?」的なノリで、始まったんだよね。

私たちはあんまり、きばらないんですよ。リラックスしてるっていうか。

農業を始めるって、すごいハードルが高いように思うじゃないですか。実際そうだと思うんですけど、結構なんかうまいことやって、気負わずにやってみたらここまで続いたねっていう。

--そもそも農業っていう職業に惹かれた理由は何だったんですか?

細:高校も私、農業科がある高校にいたんですね。動物がすごく好きで、そこは畜産もあったんですよ。

その時に、野菜を作る授業があって、そこで作ったものを家に持って帰ると、家族が、おいしいっていうふうに言ってくれるんです。そういう、誰かが喜んでくれるっていうのがすごく素敵なことだなっていうふうに感じて、そこから野菜作りというか、そっちの方に興味を持ち始めたのがきっかけと言えばきっかけですね。

今村 直美さん・細渕 有里さん /わが家のやおやさん 風の色

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