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中国人スタッフと築く信頼関係。(1) 安村 雄一さん /美食中華 泰山

  • インタビュー・構成:大坪正和
  • 2015年12月12日
  • 読了時間: 6分

安村雄一さん

昭和の路地の香りが残る柏一小通りに佇む中華料理屋「美食中華 泰山」。

常に勉強の毎日だと語るほどの料理への探求心と、それに負けない食材への強いこだわりを持つ店長の安村雄一さん。商店会の会長も務める彼が柏の街に思うこと、そしてスタッフに対して見せる経営者としての顔に迫りました。

日本人の口に合う「本格」中華料理屋を目指して

――お座敷もテーブルも、カウンターもある、落ち着きのある店内だと思ったんですけど、内装や外装にはどんなこだわりがあるんですか。

わくわくする特別な空間に来たような時間を過ごしてもらいたくて。まるで台湾に来たね、中国に来たね、と感じてもらうため装飾品も本場で買ってきたものを飾ったり。

――中華料理屋さんは競争も激しいと思うんですけど、泰山さんはどういったコンセプトなんでしょうか。

ファミリー層や、仕事仲間や友達なんかで来る日本人向けの中華料理屋さんという感じです。

――SNSでの情報発信をあまり行っていませんが、その点集客や宣伝はどのようにされているんですか。

ほとんど口コミ。誰々の紹介で来たよとか、常連のお客さんと一緒に来た人がまた家族と来てくれたりとか。そういうので輪が広がっていますね。

――SNSに頼っていない分、リピーター獲得のために、お客さんとのコミュニケーションであったり、気を付けていることはありますか。

みんな忙しい中時間を作って、お店に来てくれるわけだから、その時間を大切に、楽しく過ごしてもらうようなことを心がけて、接客、料理、雰囲気だとか気を付けています。

――先日実際に食べさせてもらって、香辛料など結構本格的だと感じましたが、本場から特別な仕入れなど行っているんですか。

いや、特に個別での特別な取り寄せはしていないです。全て日本で流通しているもので。ただ、ものによっては使わなかったり、逆に日本人に合わないんじゃないかなっていう香辛料でもうまく使って、喜んでもらえるように心がけたり。

泰山

――具体的に日本人に合わないかもしれない香辛料にはどういったものがありますか。

日本人というより時代によって好む味付けって変わってくる。

いま麻婆豆腐に使う、痺れるような辛さの山椒も昔使って出したら、「なんだこれ」って食べられなかった。いまでは、皆喜んで食べてくれるんだけど。

だからその時代の流れにあったものを選んで、使っていく。自分でお客さんを慣れさせて美味しさを知ってもらうため、いろいろ考えながら研究しています。

――時代の流れっていうのは、どのようにしてつかむんですか。

香辛料を最初は少なく使って、「あ、なんか違う。初めての味、香りだね」ていう反応を見て、徐々に量を増やしていくとか。

そうすりゃ、最初はクセがあっても慣れると美味しいねとか。そうしてほかの店がたぶんやっていないようなことをやって、そこでしか食べられない「本格」中華料理にしていく。

――実際そうした本場の味を研究するために、たびたび中国には行かれているんですか。

中国や台湾には一年に一,二回。あっちには、今まで自分でも食べたことなかったような香辛料とかあるんで。あとはスタッフの中国のコックに、本場の料理は作ってもらえるわけなので、それも食べてというような。

でもそれをそのままでは日本人は美味しいとはなかなか思えない。

――では日本人の口に合うくらいの「本格」を目指すというのが、泰山の「こだわり」になりますか。

はい。本場のものをそのまま食べたいていう人もいるけど少ないですし。

こだわりは時間を楽しく過ごしてもらえるよう、中国ぽいというだけでなく、日本の新鮮で美味しい食材を使って出来るだけ安く作ることですね。

お酒も紹興酒とかだけじゃなくて、自分で選んだコスパが良くて、安くて美味しいワインなんかも置いています。

自家栽培するまでの食材へのこだわりは楽しみになっている

――そうした食材の仕入れ先にこだわっていたりとかは。

一応こだわってます。魚介類は柏の市場に自分で買いにいったりとか。肉はお肉屋さんで国産とか産地を自分で確かめて。柏のブランド豚、幻霜ポークも使いたいんだけど、売値が高くなっちゃうんで。

――お野菜に関してはどうですか。

なるべく新鮮なものをという想いがありますね。我孫子のほうで、農家が持ち寄ってくる、直売所みたいなところにちょくちょく顔だしてますね。我孫子の天王台に一号店があったときは近くに畑を借りて、自家栽培もしてました。

こちらの柏店を開店して時間がもう取れなくなって、やめちゃったんだけど。本当に美味しいのができる。野菜は鮮度。よく自家栽培で作った野菜が美味しいていうのはやっぱり鮮度がいいから。

――収穫してから食べるまですぐですもんね。

大根なんかも八百屋に並んでるものは、収穫して市場に行くんで、収穫してから何日か経ってるんですよね。それでも、ちゃんときれいに保つため皮が厚めの品種の種を植えて作ってる。

自家栽培の大根ていうのは皮が薄い。採って何日かしちゃうと、しなしなってなっちゃう。その代わり、採りたてはすごく美味しい。素人が作っても、美味しいのができる。

――その時農業は初めてだったんですか。

初めて。だからその時は料理の勉強より野菜の勉強本ばっかり読んでました。大変は大変。種を植えてから収穫するまで時間もかかるし。あとは手入れも大変。春先から夏場にかけては雑草がばんばん生えてて、それ抜くだけに畑にいってたりとか。

でもその時が一番楽しかったかな。周りに農家の人がいっぱいいるんで、毎日畑に行ってると、この時期にこの種植えるといいのできるぞとか声かけてくれるんですよ。

安村雄一さん

――どれくらいの広さの畑だったんですか。

100坪以上あったね。片手間の家庭菜園というのではなかった。最初手で耕したりしたんだけど、全然追いつかなくなったんで、小さい機械を買ってそれで耕すようになって。

――採れた野菜は全部お店で使おうとしてたんですか。

自分たちで食べたり、お店で使ったりしようと。一時期はその畑でできる時期のものだけ使ってお店をやろうかなと思っていたんです。夏場はチンジャオロースが食べれるけど、冬場は食べれないみたいな。でも、さすがにそこまでは難しかったですね。

――それほど食材に対するこだわりというのは凄いですね。

楽しいですしね。それができたらいつでも一番美味しいものが食べられる。

――その時はそういった野菜を目当てに来られたお客さんとかも。

結構いたね。ただそれを二店舗やりながらはちょっとなかなか難しいかな。

安村雄一さん/美食中華 泰山

 
 
 

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