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お客さん一人ひとりを大切に。信頼の20年。(3) 高松 基広さん /Syun

高松さんは2011年の福島第一原発事故をきっかけに、消費者・生産者ともに安心できるようにと、放射能測定サービスと測定器レンタルの「ベクミル」を始めた。 柏店に続いて、上野に二号店を出すなど、精力的に活動をしてきて、2015年2月にベクミルのサービスは終了した。

――震災後には、柏は放射能のホットスポットとして有名になってしまいました。そんな中で、高松さんは一般の方にも手の届く価格で放射能測定器を利用できるベクミルをいち早く開設して、非常に注目されましたよね。それはどういう経緯で始められたんでしょうか。

僕は測定器で何かを測るのが好きだったのですが、原発事故直後、家族を守ろうと真っ先にガイカーカウンターを手に入れていました。

事故から4日後の3月15日の昼過ぎ、会社の机の上のガイガーカウンターが突然ピーピー鳴り始めたんです。それまで0.08μシーベルト/hだったのがいきなり10倍の0.8μシーベルト/hになっていました。

これは大変だと思いtwitterとか見たら大騒ぎになってる。

だれもが数値を知りたい状況だったので、「じゃあustreamでガイカーカウンターの液晶画面を生中継してみようか」とやってみると世界中から反響がありました。この中継の体験がなかったら、ベクミルも始めなかったと思います。

――その後ベクミルを始めようと思ったときには、奥様の反対があったと聞いています。

そうですね。今でもその話になると敷居が高いです。(苦笑) でも、口では言いながらも最後は認めてくれたカミさんに感謝しています。

――ご本人の中でも葛藤はありましたよね。

当時は、消費者と農家さんがネット上でずっとバトルしてました。

測って汚染が出れば対策を考えればいいし、出なかったら喜べばいい。なんでみんな測らずに机上論だけであんなにバトルしてるのか、僕には判りませんでした。

だから、とにかく測ろうって思ったんです。

でも、もし仮に思いっきり高い数値が出ちゃった場合、下手すると測ったことによって誰かの命を失うことになるかもしれない、職業を諦めなきゃいけなくなるかもしれない、という葛藤はすごくありました。

――測定器には大きな投資も必要だったんじゃないでしょうか。

食品のベクレルを正しく測れる測定器は、当時、1台300万円以上しました。

初めの試算では資金的にはトントンぐらいになると思ってスタートしたのですが、ふたを開けてみたら人件費がかかりすぎて全く回収できませんでした。一日中電話が鳴りっぱなしだし、測りに来た人の対応はずっと付きっ切りじゃないとダメだし、2人で回す予定が常時6人くらい必要だったんです。

――オープンの時はものすごくマスコミも来ましたし、なんか異常な状況でしたと伺っています。

ここにTVカメラが17台くらいあって、ここのフロアに50人くらい人がいて、下には各キー局の車がずらっと並んでて。現実感なかったですね。

開設から半年はただただ走り続けていました。一日2~3時間しか寝てない日々で、体重も10キロ近く痩せました。

あの時は、本当にいろんな人が助けてくれて、なんとかなったって感じですね。

困った事が起きたときに、人類の知恵として、自然にその時に必要とする人に力が集まるようにできてるんじゃないかな。

そんな気がします。

――なんでこういうチャレンジングなすごいことを、高松さんはあの時期に全国に先駆けてできたんでしょう。

よくわかんないですね(笑)

僕は職業柄、人より新しい事をやってみるハードルが低いんだと思います。本人はすごい事をやってる実感はありませんでした。

「技術屋で測るのが好きだった」「自分の子供達の食べ物を守るためにも測る文化を作りたかった」というだけだと思います。

あの2011年は動かなくても何も変わらなかったかもしれません。

けど、動いたおかげでいろんな人に出会えて柏は大好きになりました。柏は面白い。柏って凄いなって。

――正直Syunのほうの仕事と両立って難しかったんじゃないですか。

Syunのスタッフには非常に迷惑をかけました。仕事が傾き、2年前には一時縮退する事になりました。

ですが、僕が得たものはほんとに大きかったと思います。いろんな人に会い、いろんな経験をして、たぶん頂いた財産としては黒字だと思いますね(笑)

あの時期に出来た繋がりは今でも宝物です。

農家さんと消費者やシェフが顔を合わせて、地元野菜を測定していく円卓会議にも参加させていただきました。

初めは、ネット上でバトルをしている立場の代表者が一同に会しているような状況で、重苦しく非常に辛かったです。

円卓会議の測定が一段落したときのイベントで、シェフの人たちが作った地元の農家さんたちの野菜を頂いた時は、涙がボロボロ出てきました。原発事故当初を思えば、「地元農家さんが作った野菜を地元のシェフが腕によりをかけて調理し、地元の消費者と一緒にみんなで笑顔で食べる」、そんな日が来るとは夢にも思ってもいませんでした。

あれは、心で味わっていたと思うのですが、すげーうまかったです。ほんとに(笑)

――ベクミル時代の経験を通して柏が好きになったっておっしゃってましたが、これから地域に関わっていきたいっていう思いはありますか。

僕の場合、プログラミングは独学で勉強する物だと思っていたので、人にプログラムを教える事ってあまりなかったんです。

でも、一昨年、小学校で子どもたちにプログラムを教える機会に恵まれたのですが、やってみたらめちゃくちゃ面白かったんですね。子供たちは、あっという間に理解して目をキラキラさせながらやるんです。

その姿を見て小中学生については考えを改めました。

現在では、月1回、柏の葉のKoilで子供たちにプログラムを教えるCoderDojoのお手伝いをしています。僕も50を過ぎたのですが、人生後半は、地域の子供たちにプログラムを教えるって事をライフワークとしてやって行きたいと思っています。

――いま柏には、20代から30代でIT系の起業する人もちょこちょこ出てきますよね。

そういう人たちとの人脈や付き合いを大切にしたいなと思ってます。

ただ、今Syunを立て直さなきゃいけないので、彼らと遊ぶ時間が取れないのが残念です。

――Syunという会社は理想からしてどのくらいのとこまできてますか。

もうちょっと楽に仕事したいっていうのはありますね。この20年、走りっぱなしなので。

――最後に起業を考えている人に一言お願いします。

今の時代、ネットで検索すればなんでも知識は得られるようになりました。あとは「やっちゃう」か「やっちゃわない」かだけの違いだと思うんです。

年取った時「やっときゃよかったなって」後悔するぐらいだったら起業してみるのも良いと思います。

失敗してそのあと生活苦に陥っちゃうと辛いですが、失敗も必ず人生の肥やしになると思います。

命を取られる事は無いと思うので、やりたい事があるならやっちゃってもいいんじゃないかなと。

お客さん一人ひとりを大切に。信頼の20年。 高松 基広さん /Syun

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社名株式会社Syun

住所〒277-0023 千葉県柏市中央1-2-25

TEL04-7165-7474

FAX04-7165-7484

JR柏駅から徒歩7分

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