こだわり抜いて育てた野菜が身近にあってほしい。(1)安生 俊一さん / Bal CHATEO
- インタビュー・構成:千葉裕平
- 2015年11月28日
- 読了時間: 5分

2013年7月に開店したBal CHATEOは有機農法で作られた自家製野菜を中心にスペイン料理やワインなどを提供するスペインバル。それ以前からやっていた農業も毎日なさっているという。ここの店長である安生俊一(あんじょうしゅんいち)さんに野菜や飲食店を含めた、自身の「こだわり」に迫ってみた。
素材から作って、お客さんに喜んでもらえるのが飲食
――安生さんは、出身はどちらですか?
出身は野田なんですが、柏には大学生時代に、飲食店でアルバイトしていてゆかりができました。
――どんな感じの飲食店でしたか?
いわゆる当時流行ってた業態のダイニングバーみたいなところですね。ちょっと奥まったところのバーで、お客さんは、個人店のオーナーさんだったりとかが、多かったですね。
――当初から飲食店に興味を持っていた?
洋服のショップ店員でも飲食でもよかったのですが、10代からお店やりたかったんです。でも、アルバイト先の飲食店に来ていたお客さんに刺激をもらって、飲食店に興味を持ち始めました。個人店のオーナーさんがお客さんだから、直で毎日いろんな話が聞けたっていうのが大きかったですね。
――洋服のショップ店員にはない飲食店の魅力はどんなところですか?
洋服を自分が作って売るんだったらいいんですけど、もうあるものを、仕入れたりとかしてっていうのは喜びが薄くて。それに比べて、飲食店は一から素材から作って、お客さんに提供して美味しいと言ってもらえるっていうのがあって。それが、洋服のショップ店員にない嬉しさですね。
――大学卒業後は?
大学卒業後は、都内に引っ越して、そこで、企業の飲食店に勤めました。というのも、運営の仕方とか、ノウハウを学びたいと思ったので勤めただけで、面接の時にも、「企業のやるノウハウ、運営の仕方を学んだら辞めます」って言ったんです。
――面接の時にそう宣言するはすごいですね(笑)。
やっぱり、自分の意思でじゃないと動けないんですよ。それに、言われて動くことができなくて反発したりとか。納得すれば、「ああ、分かりました。」ってなれるんですけど。
だから、自分でやれることをやった方がいいだろうって思いましたけど、個人店でアルバイトして、企業の飲食店に勤めたのは飲食店のノウハウをつけるためです。
――Bal CHATEOさんでは今、スペイン料理を提供していますが、その理由は?
僕はもともと洋食をやりたかったんですが、実はその会社は和食業態が多かったんです。でも、その会社に入社してすぐくらいに、「洋食やりたいって言ってたよな?スペイン業態やるからそこに入れ。」って上司に言われて、スペイン業態につくことになりました。
――グッドタイミングでしたね。
そこでスペイン業態の立ち上げから携わらせてもらって、ずっと、退社するまでそのお店にいたんです。それでその、スペインバルって様式にはまって、「これだ」ってなったんです。ワインとか酒場が好きなんでぴったりだってなって…。
常に「これだ」っていうのがない、試行錯誤の農業
――いつごろから、農業には興味を持っていたのですか?
学生時代の頃から、農業に興味はあったんですけど、まあ、都会も好きだったけど田舎も好きだったので、「スローライフ」とか、ちょっとのんびりしたとかじゃないですけど、農業をそういう風に捉えていましたね。ゆったり生活していきたいな、くらいだったんですよ。
――結構そういうのに憧れを持っている人って多いですよね?
絶対多いじゃないですか。始めてみたら、もう、やれるもんならやってみろって感じですね。
――実際に農業に出会ったのは?
まだ、5年前のことです。勤めていた飲食店の企業は、農業をやるからやめたわけですね。お店はもうちょっとあとでやろうと思っていたので、まず畑を借りて。
飲食店にいたときに、野菜に対してどれも同じで味がないっていうイメージを持っちゃって。それで、もっとおいしい野菜が食べたいなって思って、農業を始めたんです。

――農業のスキルはどうやって身に着けたんですか?
技術は、まったくのゼロからで、学校とかに行ったわけでもなく、とりあえず種をまいたっていう(笑)。畑にまいてみたら、意外とできて、食べたらうまいっていう(笑)。
まあ、だから、基本独学で。壁にぶち当たれば、やっぱり、ネットだとか、本だとかで一つ一つ解決してゆきました。あとは、堆肥とか、米ぬかとか、鶏糞とか、いろいろ土の中の入れるものの配合や量を変えて試行錯誤したりとか。常に、これだっていうのはないんですけど、今回はこうしてみよう、今回はこうしてみようっていうのの連続でした。
――地道に試行錯誤したのですね。
そうですね。なんか、例えば、研修みたいのに行くのが嫌で。あとは、僕、有機農法でやってるんですね。同じ農法でやってる農家さんでも、やり方とかで交われないなっていう人も多くて、僕はぶれられないので。
でも、我孫子で夫婦で就農している、のらさん(自然野菜のら)とかとは気が合って、なんか共感してくれていますね。
――飲食店と農業の2つをつなげたのはどうして?
農業をやりながら、つなげられるじゃないって思いましたね。すぐにお店をやらないで、農業と出会ってよかったなって思っています。
実は、お店とは切り離して、一回農業で食べていこうって思っていた時期もあって…。でも、やっていけなくなって、いずれ店はやるつもりだったんで、じゃあ今しかないって思ったんです。
安生俊一さんインタビュー
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