フランス菓子とともに贅沢な時間を過ごしてほしい。(4) 佐々木 愛さん/coffret d'amour
- インタビュー・構成:曽原 実子
- 2015年12月18日
- 読了時間: 4分

「23時はお誕生日のカウントダウンに間に合うじゃないですか。」
――お店を開くにあたって、苦労されていることがあれば教えてください。
労働時間ですかね。最近はやっと休みの日に少し余裕ができたけど、前は定休日もお店でずっと仕込みをしていました。製造して販売してっていうのは、想像以上に時間がかかって。製造にしても、途中で手を止められるものもあれば、今は止められないっていうものもあるので難しかったですね。
うちは営業時間がお昼の12時から夜の11時までなんですね。なので、自宅に帰るのがいつも深夜になるっていう。最初のころはもう3時、4時が当たり前でした。
あとは、ほんとにプライベートがなくて、全部仕事に注いでいるっていう感じなんですね。それは私が望んで始めたことなので、全力でやるつもりではいるんですけど。やっぱり自分の先々のことを考えると、もうちょっと自分の生活を大事にしないといけないなーっていう風に思い始めたところです。
――夜の11時まで営業されているのはコフレダムールさんの大きな特色ですよね。
夜の11時っていうのはお誕生日のカウントダウンに間に合うじゃないですか。
周りからはニッチな商売だねって言われるんですが、ほとんどのケーキ屋さんって8時ぐらいに閉まっちゃうので、やる価値はあるかなーと思えたんです。
それは25歳のときに考えたことだったんですけども。他のケーキ屋さんと時間が被らないっていうので、お互い色があっていいかなと思っています。
あと、お店を開いてから、夜遅くまで営業しているケーキ屋さんだって定着するのが早かったですね。
――労働時間に苦労されているということでしたが、佐々木さんお1人で営業されているんですか。
最初の年は、やっぱり全部1人でやりたいっていうこだわりがありました。でも、1周年を迎えたぐらいに体力の限界を感じて、人を雇うようになりましたね。
現在は、パートさんとアルバイトを合わせて計4人で営業しています。人を雇うようになってからは人件費も発生しますので、経営者としてマネージメントする苦労もありますね。
いろんな人の声に耳を傾け、選択肢を持つということ
――これから新たに取り組んでいきたいことはありますか。
もうすでにやっていることなんですけども、小学校の町探検や6年生の職場体験とか、近くにある通信制の高校の職場体験。自分が知らない世界を知れることや、普段関わる機会のない歳の子たちと関わるっていうのはすごく新鮮なので続けたいです。それを通して、子供たちにもいろいろ伝えられたらなって思っています。
町探検で来た2年生の男の子が、「僕はパティシエになりたいんですけど、どうしたら美味しくできるんですか?」って質問してくれて。ここ数年パティシエって人気の職業ランキングにも入っているので、夢を持たせてあげられるようにしたいなと気が引き締まりました。
あとは、自分がすごく周りの人に恵まれてというか支えられてきたなっていうのが4周年を迎えて感じたことで。少しでもその恩を返していきたいなーっていう気持ちが芽生えましたね。
――なるほど。では、その感謝を子供たちへ返そうということですね。
子供たちだけではなくて、誰かが何かを必要としてそうであれば積極的にやりたいなーと思っています。ワインショップキムラさんがこないだうちに販売に来たのも、私がユルベルトで寺島さんに場所を提供してもらったように、私も場所を提供して他の人に発信できたらなっていう気持ちがあったんです。
独立したばかりの頃は、自分の商品を売るだけで精一杯だったので。いま軌道に乗ってきたところで、場所を提供することによって、ここが発信の場になればいいなと思って始めたことですね。
――最後に、起業を考えている方にメッセージをお願いします。
いろんな選択肢を持つことだと思います。良くも悪くも思い通りにいくとは限らないので、あらゆるパターンを考えることが大事だと思いますね。
やっぱり独立ってなると自分がトップになるから独りよがりになりがちで、どうしても狭い世界になっちゃうので。会話していくうえで気づかされることとか、その話が頭にあったから決断できることがあると思うので、人の話を聞く姿勢は大切にした方がいいと思います。そして、人と繋がることに対して億劫がらないでほしいなと思います。
電話:04-7162-5520
営業時間:12:00 - 23:00(水曜日定休)
アクセス:JR・東武線「柏駅」より徒歩約10分
駐車場あり
フランス菓子とともに贅沢な時間を過ごしてほしい。 佐々木 愛さん/coffret d'amour
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