フランス菓子とともに贅沢な時間を過ごしてほしい。(3) 佐々木 愛さん/coffret d'amour
- インタビュー・構成:曽原 実子
- 2015年12月18日
- 読了時間: 7分

「ふとした時にすごくいいんじゃないかなって魅力的に見えたんです。」
――最初は無店舗で営業されていて、そこから現在の店舗を構えたのはいつごろですか。
アパートを拠点にして無店舗営業をやっていたときが2009年なんですね。その2年後の2011年に今のテナントに移りました。
――なぜ店舗を構えようと思われたんですか。
先々パティシエとして生計を立てていくって考えたときに、受注制っていうのはロスがなくていいんだけども、少し時間を持て余しちゃうってことと、生計を立てるにはちょっときついっていう。あくまで知り合いの方が声をかけてくれて注文していただいていたので、一般のお客さんがいつでも来られるわけではなかったんですね。
ちょうどアパートの契約の更新があったので、ここは一念発起かなと思いました。
――現在のテナントはどのようにして見つけられたんですか。
無店舗営業していたとき拠点にしていたアパートから買い物に行くときに通っていた場所なんです。当時、そこは居抜き物件で、ラーメン屋さんのままでした。自分が借りるなんて全然考えていなかったんですけど、ふとした時にすごくいいんじゃないかなって魅力的に見えたんです(笑)。
その物件は、今まで行ってた不動産屋ではなく、個人で管理されている物件だったので、ネットでは出てこなかったんですね。だから、テナント募集の貼り紙に書いてあった番号に電話して、見せてもらいました。
点と点でつながっていく人脈
――お店を構える際、柏を選ばれた理由について教えてください。
高校が柏で、高校と調理師学校時代のアルバイトも柏だったので、地元みたいな馴染みがありました。
barでのアルバイトをしているときの出逢いが全て、今につながっていますね。bartexの根本さんを通して、柏で様々な事業に携わっているエッジハウスの油原さんたちと知り合って、開業のことについてもいろいろ相談していました。多くの良き先輩方を見て、今のこんなにありがたい環境はチャンスだなと覚悟を決めたんです。
都内に店を構えたいという憧れはあったんですが、柏でできないことは都内でもできないなって思って。柏で培ってきた人との繋がりをベースにやってみようと思いました。それで、もし上手くいって、まだ都内でやりたい気持ちがあれば都内に行けばいいかなって考えていましたね。
――無店舗営業されていたときから、柏のイベントにも参加されていたんですか。
そうですね。柏神社で月1回開催されている手作り市の、ての市に出店していました。
そこで知り合った方は、レオニダス(ストリート・ブレイカーズ元代表)の市村さん、シフォンケーキのポムスールさんなど、すでにお店を構えていらっしゃる方ばかりだったので、物件のエリア的な相談をしたり、お店を見せてもらったりしてましたね。資金を調達する際に利用した商工会議所などを教えてくれたのも周りの飲食店の方々です。
――ての市に出店されるきっかけは何だったんでしょうか。
柏駅前にジモトワカゾー野菜市のポスターが貼ってあるのを見て、柏にも手作り市があるっていうのは知ってたんですけど。ただ、どうやって参加したらいいのか分からなかったんです。
「参加者募集してるらしいよー」って声をかけてもらい、トントンと出店へと進みました。
――その後、ての市などに参加されてから広がっていた人脈っていうのはありますか。
ての市を運営しているストリート・ブレーカーズの亀岡さんを介して、レインボーファミリーさんというこだわりの野菜を生産している農家さんなどと知り合いました。
レストラン向けに農家の現場を見てもらうっていう企画を組んでくださり、私も時間があったので参加させてもらったんです。それは、実際に畑を3カ所ぐらいツアーするという企画でしたね。
今でもそのときに出会った農家さんから野菜を買わせてもらっています。レインボーファミリーさんからはカボチャや季節の野菜を買わせていただいています。あとは、旬な時期に農家の小川さんのブルーベーリーを使わせていただいていますね。
――他にも様々な柏のイベントに積極的に参加されていると思うんですが、具体的にどういうものがありますか。
ユルベルト(※1)にランチパスポート、ウラカシプレミアムチケットなどですかね。皆さんに声をかけていただいて、ほんとに感謝するばかりです。普段、相談に乗ってもらったり、お世話になったりしているので、お話をいただくと参加させていただきます!みたいな感じですね。
※1 ユルベルト…回数券を購入し、その半券一枚を参加店舗に持っていくと、各店舗独自の一皿のお料理と一杯の飲み物の提供を受けられる。回数券1部につき5枚の半券が付いているので、5件のハシゴグルメが楽しめる。残ったチケットはアトベルト加盟店で使用できる。
――ユルベルトも初期のころから参加されていると伺いましたが。
そうですね。第1回目か、2回目ぐらいから参加しています。ユルベルトの運営をしているぶらい庵の寺島さんがての市に来てくださって、知り合いました。寺島さんがユルベルトに出店するにあたって、「お店の前に本部を作るから人通りもあるし、お菓子でも売りに来たら?」って声をかけてくれたんです。
当時って、アパートを拠点に手作り市で販売するっていうのが私の収入源だったので、そういう風に声をかけてくださって売り場を与えてもらえるっていうことはありがたかったですね。
――現在は、ユルベルトにどのようなかたちで参加されているんですか。
3回くらい前のユルベルトまでは、ぶらい庵の前や駅前でワインショップキムラさんと一緒にお店を出していました。でも、店舗の営業が気になり、行ったり来たりになってしまっていたので、前々回から店舗を構えている場所で参加しますって変えさせてもらいました。
うちはイートインスペースがないので、ユルベルトでも異例のテイクアウトスタイルです。あとは、チケットを使いきれなかった方とかもいらっしゃるので、必ずアトベルトに参加してお店を知ってもらえるようにしていますね。
――そのワインショップキムラさんとはどういうつながりがあるのでしょうか。
柏の葉の駅前でマルシェコロールっていうイベントがあってそこで知り合ったのかな。ユルベルトでもよく顔を合わせていて、木村さんが臨時イベントスペースみたいなところでワインの1杯売りをされているんです。こないだは、「お店にワインを売りに来たらどうですか?」って言ったら、「いいの?」ってうちに販売しに来てくれました。
――他にも異業種の方とつながりはあるんですか。

はい。今、お店で販売しているものの中にはコーヒーや紅茶、保冷バッグ、陶器もあります。コーヒーは調理師学校時代の同級生のお嫁さんのお姉さんから買っています。その同級生の結婚式に参加したときに、2人のためにブレンドしたお姉さんのドリップコーヒーが配られたんです。
私自身コーヒーが好きなので、お店の1周年記念でお客さんへのプレゼント用に使わせてほしいと依頼したことがきっかけですね。ドリップコーヒーは1杯ずつできるので、客層にも合っていたし。やっぱり、お菓子とともに贅沢な時間を過ごしてほしいっていうのがあるので、飲み物も必需品かと思いますね。
紅茶や保冷バッグは、国際展示場で業者向けの展示会があり、そこに出向いて契約し、取引をしています。
――陶器はどういうつながりがあるのでしょうか。
陶器作家さんを教えてくださったのは、女性のお客さんだったんです。好みが合い、いろんな話で盛り上がる方で、笠間の陶器市に行く予定があると聞いていました。父の日が近かったこともあり、ぐい呑みを探しているんだよねって話をしたら、お知り合いの笠間の作家さんを紹介していただきました。
お店に並べてからは、他のお客さんもその作家さんとお知り合いで驚きましたが、そこでも人との繋がりを感じましたね。
――様々な方々と素敵なご縁があるんですね。
フランス菓子とともに贅沢な時間を過ごしてほしい 佐々木 愛さん/coffret d'amour
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