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ダンスを通じてそれぞれの居場所を。 中島多薫さん /ダンススタジオBiTS (3)


●母としての顔

--多薫さんにはお子さんがいらっしゃるとのことですが、お子さんができて生活に変化はありましたか。

生活が全く変わっちゃいましたね。この近くに住んでたんですけど、この辺では子育てがしづらくて引っ越しちゃったから、ここに通ってる形になっちゃいましたね。

あとは私、保育園に預けて、て考え方じゃなくて、幼児期はずっと一緒にいたいって思ってたので、その時期はBiTSの経営に関しては実はおろそかになってたと思います。

保育園には入れず、お母さんたちでやってる自主保育(※3)グループに入ってたんですね。普通の保育園と違って自然の中で子供がのびのびと育てるっていう保育内容が素晴らしかったんですよね。でもその分、親はすごく大変でした。なので当時は、日中のレッスンは一切やってなかったんです。

※3自主保育:保育所に預けず、親同士で当番を決めて子どもらの面倒を見る保育の方法。

--BiTSの経営に対しておろそかだったというのは。

日中のBiTSのことは私が信頼できるスタッフさんがすべてやってくれてたんですけど、そのスタッフさんに、うちの子が年長に上がってすぐに、「急で悪いんだけど、いろいろ考えて、BiTSのスタッフを辞める」って言われたんですよ。私もすごくショックで、何が悪かったんだろうって考えた結果、BiTSは私のスタジオなのに、私子育てだけやってた、ってやっと気づいたんですね。

子育てはちゃんとやりたいという思いが強くて、せめて小学校上がるまでは、って甘えがどっかにあったのかもしれないですね。

--そこから違うやり方に変えられたんですか。

年長の5月に自主保育グループを辞めて、すぐ地域の保育園にそのまま6月から入所が決定しました。そこからそのスタッフの方もいなくなってるので、昼間も毎日やるようになりました。

--BiTSをやってることで子育てにプラスになってることっていうのも、あったんじゃないでしょうか。

自分の子育てにプラスがあったかはわからないですけど、うちは一人っ子なので、必然的に子供をここにいつも連れてくることになっていました。それなので、うちの子はいろんな年齢の人と赤ちゃんの時からずっと関わってきましたね。兄弟がいないのが本人は嫌でしょうがないみたいだけど、ここならとにかく誰かいますし(笑)

--お子さんを職場に連れて来られるとか自由が利くというのは起業された強みですよね。

そうですね。妊娠出産で仕事に全く出られないときでも、定期的な収入が私のところに入ってくるっていうシステムができてたので一文無しにならないですよね。だから起業という意味ではそういうメリットは結構ありましたね。

だから私のことを見て、アルバイトとかしながら、シングルマザーでやっていこうみたいな子がいると絶対に止めますね。「私は収入があったから良かったけど、そうじゃないなら無理だよ」みたいな(笑)

--HAPPY TIME(※4)とか母親の集いとかも、ご自身の経験を活かしたいという思いからされているんですか。

そんな大それたものではなくて。娘ができて一年二年たった時に子供となにか一緒にできることを探してたんですけど、その時は全然見つけられなかったんです。

で、スタジオが昼間空いてるからなんか有効活用できないかなと思ってるときにベビーマッサージの資格を取ったって方に出会ってだんだん話が進んで始まりました。

※4HAPPY TIME:中島さんが主宰する柏の親子サークル。

参加してる人も少なくて収入源とも言えないですし、私の子供も大きくなってしまったのでやめても良いかななんて思うこともあるんですけど、「親子サークル探してたんですけどここしか見つからなくって」とかって声を聞くと、やっぱ続けていったほうが良いのかななんて思ったりもしますね。

●みんなの居場所としてのBiTS

--このBiTSは永久会員制という制度を採ってるとお聞きしたんですが、それはどのような意図があるんですか。

私があんまり人と切れたくないんですよ(笑) そういう性格なんです。

転勤とか出産とかで生徒さんが「辞めます」とかいうのがすごく寂しいので、じゃあ万が一来れそうになったらいつでもおいで、みたいな制度なんです。それでいまは二世が多いですね。「あ、じゃあ子供入れる」みたいな(笑)

--いろいろな方が所属し続けていらっしゃるんですね。

出産とか、お仕事忙しい時期はちょっとお休みになってて、とか受験期で一年間全く来なくて、とか。長く休むことが一番多いのは、やっぱり何かと忙しい中学生。でも三年間全く来なかったのに、高校入ったらバイト代で自分で来るようになった子がいたりして。

--つながりを大事になさっているんですね。

上手い子がどんどん育ってくるようになるのもうれしいし、活躍する子が増えるとスタジオの知名度が上がったり、あのスタジオすごいな、って集客にもつながりますし、そこもすごい大事にしなきゃいけないんですけどね。

だけど中学生とかでやっぱりこう、一番思春期で、いろんなことがあったりしてっていうときに、学校も行きたくないし家もいたくないしっていうことあるじゃないですか。

行き場がないんだよねみたいな時に、小学校の時から習ってるから、ダンスだけはやろっかなみたいな感じで、いろいろあってたまにになっちゃうけど、って言って顔出してくれる子とかいるんですよ。そういう子たちも大事にしたいですね。

--居場所になってるというか。

ある先生に、子供がレッスン受けないけど遊びにきたみたいなときに、「私は冷やかしみたいでそういうの好きじゃないんだけど」って言われたときがあったんです。でも私はここがその子の居場所ならアリだと思う、って言って。そしたらその先生も納得してくれましたね。

私としてはBiTSがそういう子たちの居場所になってくれてたらいいかな、って思っているんです。変な方向に走られるくらいなら。

-今そういう居場所少なくなってますもんね。

なんかヒップホップやってるっていうと、派手目な子たちも、抵抗なく来やすいと思うんですよね。

いろんな真面目な団体が作ってる場所なんかはダサいよ、みたいに思う子たちも、こういうタイプのとこだったら、別に来てもいっかと思ってもらえるんじゃないかな、っていうのがあるんです。

--来る生徒さんの年齢層も幅広いですよね。

全く違う年代の人と関わると、例えば中学校とかすごい狭い空間の中で、いじめだとかいろんなことがあって、自分ってみんなに合わないんじゃないのかなとか思ってたことが、あ、今いるところがすごい狭い世界なんだ、って思えると、気持ちが切り替わりますよね。

例えば高校生に「高校はすごく楽しいから!!」とか主婦の生徒さんとかに「もう◯◯ちゃん、自分の娘みたいで可愛くって」とか言われたり。ここに来て、あ、全然違うとこ見てていいんだ、ってなってくれてれば、すごくそれがいいと思いますね。

--いわゆるナナメの関係ですよね。親でも友達でも先生でもなく。

そういうふうになったらいいかな、なんて。まあ最近はスキル志向が高まってるので、そういう子少なくなってますけどね(笑) 

ダンスを通じてそれぞれの居場所を。 中島多薫さん / ダンススタジオBiTS

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