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人から人へとバトンをつなぐ。 森田 晋介さん /Marche' Baton (3)

  • インタビュー・構成:町田和海
  • 2015年11月16日
  • 読了時間: 6分

バトンを渡す鳥は店のトレードマーク

「柏には、新しい人を受け入れる風土があります。」

―この前のユルベルト(食べ歩きバル系イベント)では売上トップだったそうですが、やはり新しいお客さんは増えましたか。

実はそうしたイベントに広告宣伝としてはそれほど大きな効果はないんです。

だから飲食をやっている人のお祭りと思って、従業員の子たちとチーム力を付ける、チームビルディングの一環として今年は位置づけました。学園祭でみんなが頑張る、みたいなのに近いです。

結果それが地域の盛り上げにつながれば一番だと思いますね。「おおっあそこあんなん出しやがった!」ってお客様が盛り上がってくれて、柏でご飯を食べる喜びみたいのを感じてくれるとうれしいです。

―お店を開かれて感じた柏の魅力、というものはありますか。

懐が深くて、受け入れる姿勢があるところですね。飲食って結構やっぱりギスギスした世界が多いんですが、ここはお店を作っている最中から飲食店の人が話しかけてくれたりとか、新しい人を受け入れる風土があります。

最近は僕みたいな開業二年そこそこの人間が、もう何年も柏で営業している洋服屋さんや飲食店の人たちと一緒にウラカシ深交会というグループを作ってそのイベントの役員をやらせてもらったりしていますし、すごく懐が深いと感じます。

今までコーヒー屋さんをやっていた春日部や流山ではそういう姿勢はありませんでした。それが…柏の良さかなあって。

―同業者と仲良く交流できるのはすごいですね。仕入れなどについて、情報交換などもなさるのですか。

他の飲食店…仲良いところは結構ありますし、仕入れについては別に隠してるわけじゃないんですけど、そんなに話には出ないかな…

―なんとなーく手の内は聞きづらいなっていうのがあるんでしょうか。

僕は聞いちゃうんですけどね(笑)

「美味しいねこれどこで買ったんすか!?」って聞いちゃうし、お酒とかも美味しいのがあったら「これ美味い!どっから仕入れたんですか」って。でその場で調べて「あっ。意外と安いな」とか、「グラスで何百円も取りやがって!」、みたいな(笑)

―ウラカシでは飲食ではない業種の方ともコミュニケーションがあるんですね。

そうですね。物販の人たちの経営者さんと飲食の経営者って価値観が違ったりとか色々あるんですけど、商売人としては繋がってるものがあると思うんで、でそういう先輩方と仲良くさせてもらってるのはうれしいですね。

洋服買うんだったら今まではアウトレットとか行ってたんですけど、千円二千円高いくらいだったらウラカシの友達の店で買いたいと思うようになりました。そのお店の子たちも遊びに来てくれたりしますしね。

柏で店をやるなら横のつながり大事だよって、言われたんですよ。まあそうは言ってもみんなライバルだろって思って、今もそういう気持ちは変わってないんですけど、でも、仲のいいライバルみたいな感じですね。

こういうつながりから学ぶことも多くあります。それができているのが、柏に来てよかったなーって思うところですね。

―お客様や集まる人の印象はいかがですか。

人と関わるのが好きな人が多いかもしれないですね。

春日部や流山でコーヒー屋さんやっていてもやっぱり常連さんとは親しくなるんで、店の前を通りかかったら少し挨拶したり会釈したりとかはあるんですけど、柏の人は会釈じゃなくて手を振って店の中まで入ってきて、「イヤー今度さ、こういうイベントあるから一緒にいこうよ」みたいなこと言って、「じゃ」って飲まないで帰っちゃうんですよ(笑)

柏にはそういう人が多いですね。たぶん昔っから。僕は野田出身なので柏には若いころから服とか買いに来てたんですけど、店の軒先で店員さんお客さんがワイワイ話してて、それがこう、柏のかっこいいアパレルの風景だと思っていました。それの延長みたいなので、こうふらっと来て、話して、帰る。みたいな。そういうのが文化かなあって思いますね。

―まさに他にはない魅力なんですね。

「大事なのは、どの従業員よりも汗をかくこと」

―今後はお店をどのようにしていきたいとお考えですか。

今の形をどうブラッシュアップしていくというか、というところが課題です。

やっぱりたくさんメニューがあっても、三日に一個とかしか出ないものもあるんですよ。今までの経験から売れ筋の流れみたいのが見えてきたので、三日に一個しか出ないメニューを削って、その流れに乗せたメニューを増やしていくと、お客様も喜んでくれるんじゃないかと。

そういう意味でこの肉というキーワードとバトンという思いを外さずに、中身をどう磨きああげていくか、だと思います。

あとは、ここのお店の半分くらいの規模で実験室みたいなのやりたいんですよ。

―実験室?

すぐじゃないかもしれないんですけど、「飲食ラボ」みたいなのがやりたくて。食にまつわる機材とか食材とか、おもしろいものがいっぱいあるような。

でも、今の規模でやってしまうと、やっぱり平均化したもの出さなくちゃいけなかったりとか、そこのジレンマがすごいあるんですよね。なので、もっと家賃も安くて、カウンターだけで、とんがったお店。そこで「あ、これはイケる」って思ったら、その後物販の事業をやったりとか。

例えば、グレープフルーツの中身がジュースになるカジュッタっていう機械があるんですが、あれはうちが日本で最初に入れたんで、代理店やっていいよって言われてるんですよ。

そうしたちょっと変わった器械を使った料理やお酒を提供する実験室みたいなお店を設けると、その器械を使った売り上げのデータが全部取れて、そのデータを持って、飲食店に売りに行ける。器械が売れればメンテナンスも請け負える。

そういう物販事業に将来的に広げていける。そんな思いを描きながらやっています。

―では一番最後に、起業を志す人へのメッセージをいただけますでしょうか。

いろんな目標があって起業すると思うんですけど、起業するならまずはどの従業員よりも汗をかくことじゃないですかね。

やっぱりこう起業家とか社長とかっていい車に乗っていい生活をして海外旅行をしてみたいなイメージがあると思うんですけど、それを自分がするよりもまず、それをどうやったら自分たちの仲間ができるような環境を作ってあげられるんだろうっていうのを考えるのが先だと思います。

だから僕は、誰よりも働くようにしています。誰よりも働かなきゃいけない自分があんまり働かなくてもよくなってくることは、従業員さんがいい収入でいい生活ができるようになってきている証拠だと思うので。

マルシェバトン Marche' BATON

電話:04-7128-4523

営業時間:17:00~24:00(L.O.23:30)

定休日:不定休

人から人へとバトンをつなぐ。 森田晋介さん/Marche' BATON

 
 
 

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