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ジーンズを直した人が、5年後も喜んでくれてればいいんです。(2)矢島太郎さん・さくらさん /  ジーンズリペア ゴエモン


2005年に店舗兼工房としてオープン

「目指すゴールにまっすぐ向かう。」それがすごく楽しかったんです

ーーご出身はどちらですか。

矢:幼稚園からずっと柏です。大学を卒業した後、1年くらいフリーターをしていて、その後柏の市場にある包丁屋さんに入りました。

ーー包丁屋さんですか。

矢:包丁を研いで、直したり売ったりしたりするお店です。そこで5年半くらい働いて、そこでものを直す楽しさに目覚めました。

そこで死ぬまで働くつもりだったんですけど、さくらと結婚して、子どもが産まれるタイミングでいろいろあって、転職することになりました。準備してたんですよ、ジーンズの修理やろうって。なんでいきなりジーンズの修理かというと、そもそも、さくらがやってたからです。

さ:私が師匠なんです笑 洋服が好きでずっと古着屋さんで働いていました。そこで洋服のリメイクをしたり、お客さんに頼まれたジーンズの修理をやったり、独学で基礎的なことを学んでいたんです。結婚してからも自宅の家庭用ミシンでこつこつと作業してました。

矢:それを僕は横目で見てて。最初はなんの興味もなかったんですけど笑

ーー包丁を直すことで、”直す”っていうことに魅力は感じてたけど、ミシンを使うのはちょっと違った。

矢:はい。ミシンを使うことはまたちょっと違いました。ミシン踏んだことなかったですし。

さ:でも内心「この人今の仕事辞めて、ジーンズの修理やってくれないかな」ってちょっと思ってたんですよ。なぜかというと、わたし好きじゃないんです、直すことが。どちらかというと作る方が好きで、リメイクは作ることなので楽しかったんですけど、直すっていう、毎回同じ風に完成させることが性に合いませんでした。そこで太郎(矢島さん)に任せようと思って、ある時教え始めたら、みるみる上達しはじめたんです笑 

矢:そうなんです。ある日僕がさくらに「リペアやらしてくれ」って言ったら、「なめんなよ」と笑 「そんなにいうんならやってみろよ」みたいにふっかけられたんで、ちょっとやってみたら「あれ? 意外とできるんじゃねえか?」って。

ーー矢島さんは元が職人気質なのかもしれませんね。

さ:そうなんですよ、まさにそうです。もの作る人と直す人って、元の資質が全然違うんですよね。

私が教えたって言っても最初のミシンの使い方くらいで、それからはもうどんどん上達していったよね。

矢:直す対象が包丁からジーンズになっただけで、直すまでのプロセスというか、考え方っていうのは絶対に一緒なので。

ーーどういう部分が一緒なんでしょうか。

矢:まず最初にゴールをイメージする、仕上がり具合ですね。包丁だったらきれいになって切れるようになっていれば良い、ジーンズだったら穴が塞がって破けなければいい。そのゴールを最初に設定するのが大事で、あとは、しなやかさとか強度とか、いろんな要素を考えて修理し、途中でぶち当たった壁をどんどん乗り越えてけばいいだけです。

「目指すゴールにまっすぐ向かう。」それがすごく楽しかったんですよね。誰もやってなくて、誰も教えてくれなくて、ということはもう自分のアイデア次第だと。それが一番楽しかった。

さ:私が古着屋でリメイクをやる仕事を抱えていたので、徐々にリペアの仕事を太郎に少しずつ頼むようになりました。このあたりから2人が同じ方向を向き始めましたね。

で、私が妊娠するタイミングで、これからどうしてこうって話をした時に、「まあこうなったらもうこっちの道でやってくか」と決めて、私はリメイクに専念したいから太郎は包丁屋を辞めリペア一本でやることになりました。

幸いまだ競合となるようなお店もなかったし、可能性もありそうだからリペアやってこうよって感じですね。ちゃんと屋号も立ち上げてやろうということになり、最初はシンプルな工業用の大きいミシン1台でスタートしました。

矢:3万円だよね、中古で買った。

ーー初期投資ですね。

矢:でもそのミシンは今でも使ってるやつなんです。

ーーやっぱり長年使われてたものだから、それがしっくりくるんでしょうか。

矢:そうですね。同じ種類のミシンでも、使い慣れてるかどうかで全然やりやすさが違います。

愛用ミシンの中には、手に入れるのが困難な貴重なものも

さ:不思議と、道具とお友達になる瞬間があるんです。本当に嘘みたいな話なんですけど、最初は全く言うこと聞かないのが、メンテナンスして大事に使っていくと、ふとお友達になる瞬間があって、そこからもう使いやすくなっちゃって、今度は自分の言うことしか聞かなくなる笑 お友達になると道具が可愛くなります。

ーー素敵なエピソードですね。最初からインターネットでお店を開いたんでしょうか。

矢:一番最初はインターネットすら立ち上げてないんです。というのも、柏に古着屋さんがすごく多かったので、古着屋さんから仕事いただいてやっていけるんじゃないかと甘く考えていたら、全然そんなことなくて、これじゃあまずいなと思いました。

そこで、「じゃあインターネットで全国を相手にしよう」と。インターネットなら場所を選ばずお客さんに知ってもらえるので。2004年の4月に起業して、半年後にHPを始めました。

ーーそこもすごい覚悟ですね。

矢:何も考えてなかったんですよ。何も知らなかったから飛び込めたんです。翌2005年の9月に、ここ柏に実店舗をオープンしました。

ーー実店舗の場所はどうやって見つけられたんですか。

さ:私がもともと働いていた古着屋で仲良くさせてもらっていた先輩に紹介してもらいました。その方は、古着屋から独立して、今わたしたちがやってる店の目の前で別のお店をやってたんですよ。

矢:ウチにジーンズリペアの依頼もしてくれていて、本当にお世話になりました。その方にいただいた仕事で腕を磨いたようなものなので。

さ:それで、その方には私たちが「こういうお店をやりたいんです!」っていうのを前々から話していたので、自分の店の前が空いてたのに気づいて紹介してくれたんでしょうね。「じゃあさくら、あそこの大家さんにかけあってみれば?」って。

その場所はテナントの募集とかしてなかったんですけど、アドバイス通りに大家さんに直談判しに行きました。

そしたらそこの大家さんがすごくいい人で、すぐに貸してくれたんです。倉庫として使っていた部分も片付けてくれて、どうぞ使ってくださいって。ありがたかったです。

矢:どうしても、当時はインターネットだけだと信用性がなかったので、実店舗は構えたかったんです。だから物件選びがスムーズにいったのは本当によかった。あとは自分たちや友人に手伝ってもらいながら内装などをいろいろ準備して、なんとかオープンできましたね。

ーーすごいつながりですね。

さ:もともと今のお店の前に私の先輩がいなければ店を出せていなかったので、偶然のタイミングだったと思います。

矢島太郎さん・さくらさんインタビュー

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