子どもと向き合い、まちの人をつなぐ。(3)辻義和さん / ネクスファ
- インタビュー・構成:鈴木秋生
- 2015年10月20日
- 読了時間: 6分

「愛着をもつ前にこのまちを知ることが大事かなと思うんです。なので地元の人にまちのことを知ってもらえるような工夫はしているかもしれないですね。」
地元ではないからこそみえる柏の姿。
――ご出身は神戸とお聞きしました。仕事でいきなり柏に来ることになって、まちに溶け込むのは大変ではなかったですか?
そうですね、インフォメーションセンターに足を運んだり、商店会に参加したりいろいろチャレンジしました。特に最初の数年間は自分が積極的に地域に出ていかないとっていう感じでやってましたね。
――お住まいも逗子とお聞きしました。地元や居住地と比べて柏の印象ってどうですか?
月並みなんですが、柏はやっぱり人がいいなと思います。面白い人達と、その人たちとの繋がりがあるので、愛着があります。
柏の駅前って、結構地元の方達がやってるお祭りとかがあるんです。ただ柏に住んでいる方って、休みの日はららぽーとや流山おおたかの森SCで過ごすことが多いみたいで。なのでそういう方に、駅前に面白いイベントありますよ、柏のまちに目を向けると面白いよって伝えたりはしていますね。
やっぱり愛着をもつためにはこのまちを知ることが大事かなって思うんです。なので地元の人にまちのことを知ってもらえるような工夫はしていますね。
――一方で、柏のまちにはどのような課題を感じますか?
そうですね、今住んでいる逗子は、人口が6万人ぐらいしかいないんですよ。
市長がそこら辺を自転車で走っているぐらいの距離感です。僕は逗子に引越してから一年も経ってないんですけど、市長と顔見知りなんです。
それは僕が特別何か活動したからではなく、普通に知人経由で知り合って。そういう関係の近さは、まちを盛り上げる側としてはやりやすいなって思います。
柏は、まちとしての規模がちょっと大きいかなって思うんです。面積っていうよりは40万人っていう人口規模ですね。規模が大きいので、腰をあげるのが重い傾向はあるかな、と。でもだからこそ行政に頼るんじゃなくて民間や個人から仕掛けていこうって思っています。
――柏のまちに目を向けた活動として、「えんがわプロジェクト」という保護者の方やシニアの方がふらっと立ち寄れる場所づくりも行っていますよね。
そうなんです。だんだん子どもが増えて入りきらなくなったので、同じビルの中に部屋を借りました。それでどうせ借りるなら、地域の方とつながれる場所がいいなって思って作ったんです。

――プロジェクトでは具体的にはどういったことをやられているんですか?
そうですね、基本的には、子どもたちが過ごす場所として使っています。その上で、お迎えに来た保護者の方がちょっとでも滞在できるようにスペースを作ったり、シニア向けの体操教室の場所として開放したりということをしています。
まだ企画途中ではあるんですが、ちょっとずつまちに目を向けた活動を始めています。
――「えんがわプロジェクト」の資金は「クラウドファンディング」で集めたんですよね。
はい、クラウドファンディングは、すごく覚悟がいったんですよ。逃げられなくなる感覚があったんです。
結局クラウドファンディングって知り合いの方に支援していただくって感じなんです。あらためて自分の活動について興味を持ってもらってお金をもらうことなので、中途半端なことすると怒られるだろうなあと思っていました。なので、そのあたりは覚悟が要りましたね。
でもボランティアに来てくださる方がいたり、スタッフがみつかったり、結果的によかったです。自分の活動を整理するきっかけにもなりました。
「現場を増やすっていうよりかは、立ち上げたい人の応援をしたいですね。」
他のまちにもネクスファのような居場所を。
――今年で4年目になるネクスファですが、ご自身の仕事に対する思いに変化はありますか?
そうですね、実は始めた時、柏には軽い気持ちで来たんです。いつかはネクスファを抜けるかもしれないなっていうぐらいの気持ちがあったんです。
でもたまたまここに自分が関わるタイミングで、山下さんという議員さんが関わるようになったり、油原さんという方がコミュニティカフェを作ったりして、若手の方が柏で活躍するようになったんですね。そしてそういう中に僕も混ぜてもらって、柏のまちがなんか変わっていきそうだってなってわくわくしました。
あとはやっぱりここに関わっていく中で、親御さんや子どもの気持ちとか考えてたら、生半可な気持ちではやれないなって思ったんです。住まいのことはあるんですけど、ネクスファを続けていきたいと思います。どんな形でも柏の町にはコミットしていきたいですね。
――ネクスファを始める前から、教育を通してまちづくりをしたいという思いがあったとおっしゃっていましたが、そのあたりに関してはどう感じていますか?
そうですね、ネクスファがまちに開いていって、まちの人々の居場所になればという思いは変わっていないです。
でも蓋を開けてみたら、まちづくりっていうアプローチで教育を行っていくというよりは、目の前にある子どものことを突き詰めていけば、結果的にまちづくりにつながるんじゃないかと思うんです。まちづくりという方法が結果になったような感じですね。

――今後の抱負を教えてください。
個人的な話では、自分の住んでいるところにもう一つネクスファを作りたいっていう思いがあるんです。
ここでどれだけいいものを作っても、自分の子どもが通えないなって思っていて。ただ、同じものをコピペで作る必要は無くて、住んでる場所に合わせたものを作りたいと考えています。
もう一つは、この柏のネクスファを続けたいという抱負があります。
教室はそこまで増やさなくていいです。100教室200教室みたいな野望はないですね。
ここも大きな意味では実験の場だと思っていて、ここで培ったスキルだとかノウハウだとかを他の場所で伝えていきたいと思っています。
現場を増やすっていうよりかは、立ち上げたい人の応援をしたいってことですね。今も学童保育の立ち上げに複数関わらせてもらったりはしていて、そういう形での広げ方をしていきたいなと思っています。
――これから起業を考えている人へのメッセージをお願いします。
月並みかもしれないですけれど、やりたいことをやっていたら結果はついてくるかもしれないなあって思います。
目の前のお金がないから、やりたいことじゃなくてもそこに手を出そう、みたいなのがよくあるじゃないですか。でも頑張れるんだったらそこは手を出さない方がいいなって思います。結局そっちがメインになっちゃうって思うので。
ライスワーク・ワイフワークって考え方があるんですけど、ライスワークのための仕事がわくわくしない仕事だったら、何のためにするんだって思うので、やりたいことだけをやるっていう意志は持っていてもいいのかなって思います。
そもそも転職した一番のきっかけというのは、子どもにお父さん何の仕事をしているのって聞かれて自信持って答えられないなって思っていたからなんです。
自分の仕事について子どもには自信を持って言いたいですね。だから今水面下では、ばたばたしていますけれど、やりたいことをやらしてもらっているので、すごく恵まれているなと感じています。

〒277-0843 柏市明原3-4-16 2F
TEL : 04-7105-2948/FAX : 04-7105-2949 : info@next-ph.jp
辻義和さんインタビュー
Comments