ローカルとグローバルの視点を併せ持つ敏腕姉妹経営者 (2)浅野美紀さん / えくすて家napick
- インタビュー・構成:内野紗也香
- 2015年10月30日
- 読了時間: 7分

「電車が嫌なんです。電車っていうだけでゾッとする。」
ここからはじまる起業の物語。
――浅野さんご自身のことについてお聞きします。柏出身ではないとお聞きしましたが、いつごろからこちらにお住まいですか?
小学校1年生から。転勤族だったの、うち。で、一回山梨に行ったけど1年くらいで帰ってきて、そこから柏小・柏中ときて、ずっと柏在住です。
お母さんが柏が大好きで、柏に戻りたいって言ってもう一回柏に戻ってきたんです。
――この街に出店したのは、柏が好きだったからですか。それとも柏に美容系のお店のニーズを感じたからなんでしょうか?
ニーズとかそういうのは一切考えたことないんです。
何も考えないで、ただ私と妹が電車乗りたくなくて。働くっていうと、みんな都内に行くでしょ?電車が嫌なんです、あの通勤電車満員電車、電車っていうだけでゾッとするっていうか。
それで、とにかくじゃあ二人で何かやってみるか、って感じで、柏にお店を出しました。
――特にどこかの会社への就職はせずにいきなり起業をなさったのですか?
起業前に、都内のソフトウェアの会社に勤めたり、派遣で働いたりしていました。
妹はイラストレーターもフォトショップもできるし、なんでそんなにパソコン出来るかっていうと、そういうことを前の会社でやっていたんですよ。今に生きてるなって思うのはそういうところですね。自分たちで名刺もHPも作れるし、妹がそういうのを何でもやってくれるんです。
私は、10代後半から海外に遊びに行くことが多かったんですね。
いま仕事で海外行っても英語はペラペラじゃないですけど、コミュニケーション能力にはすごい長けてると思ってるので、まあ結局うまいこといって、今の仕事に生かせてるのかなあっていうのは最近すごく思います。
――柏は起業しやすい環境だったと思いますか?
すごく起業しやすい。起業じゃなくてもお店を出しやすくて、一国一城の主になりやすい街です。
――それは、なぜですか。街の雰囲気がそういう感じなんでしょうか?
だれでもできるんじゃない?っていう(笑)
なんていうか、小さい手軽なテナントもぽちぽちあるし、人も集まる街ですから。
――個人でお店やってる人たちは、皆さんフレンドリーなんですか?
はい。いま私、柏商工会議所の青年部に入ってるからすごい仲間いっぱいいますけど、元々地元の仲間がいっぱいいるからお互いなんかやりやすいですね。
同級生でお店出してる人もいっぱいいますもん。
「商売だけじゃつまらないじゃないですか、人生って。」
自分が楽しいことをとことんやる。家族や地域の人とのつながりを感じながら。
――商工会議所の青年部の活動を熱心にやっていらっしゃるのは、ご商売へのメリットが大きいからでしょうか?
見返りはない!でも商売だけじゃつまらないじゃないですか、人生って。なんかもう自分の身を削ることしかないけど、それでも楽しいからやってます。
私は仕事大好きだからそれ一本でもいいんですけど、それプラス家庭もあって、仕事もあって、じゃあそのストレスをどこで発散するか、っていったら青年部。みんなに、ミキティーはストレス発散のために来てるね、って言われます。
それをみんな受け止めてくれるし、なんか相談事があったらのってくれる。社労士とか不動産とかに電話できるし、青年部の仲間にはその道のエキスパートがいますから。
集まっているのがおんなじ感覚持ってる経営者の人たちだから、価値観も結構似てるし、気が楽なんです。
青年部の会議では、何かの討論みたいなのをずっとしています。何かのイベントを企画するときにも、お互いが納得いくまで納得させる、ってことをしなきゃいけない。そういうのは、勉強にはなりますね。
同じ仲間がいるっていいですよね。学生さんはそうだけどさ。何の利害関係もない仲間って、できないですよ。学生じゃなきゃ。
でも、青年部に入ったら学生みたいなんですよ。なんの利害関係もなく、業種も職種もポジションも関係なくてフラットでいられるから。居心地がとっても良くて。

――その青年部で柏まつりの委員長をなさっていたとお聞きしましたが。
その柏まつり委員会のメンバー11人を、同じ目的意識に持っていくまで話をしないと、みんな動いてくれないんです。
みんな社長さんですし。大切な時間を割いて来てくれるから、納得できてからじゃないと動いてくれないんです。
そこをクリアしたら今度は、青年部のメンバーが100人位いるから、その百何人が納得しないと当日みんな来てくれないじゃないですか。つまらないことやっちゃうと、動きたくないですよね。
学園祭とかもそうですよね。
だからまとめないといけないってところで、やっぱり、色々考えなきゃいけないことがいっぱいあったから、それも勉強になって、自企業の経営にも生かせるかな、っていう思いはありましたね。まあそんなに考えてないですけど(笑)
――青年部と店の経営の両立はどのようになさっているのですか?
経営の方は手薄になってしまうこともありますね。
経営は回り出すと、お店を運営すること自体は簡単で、あとはもう継続するだけ。売上とか色々落ちることもあるけど、またそれを上げたりだとか、そういうことをやっていくだけです。
でも、うちであんまり店をおろそかにしたら妹が超怒りますからね(笑) 私は表に出るのが好きだから表、妹は裏。二人で一人みたいな感じで経営してるんです。
――やっぱり妹さんと二人で作ってきたっていうのが大きいですか?
大きいと思います。私一人だったらすごく大雑把になっちゃうし、お金の管理もできないし、湯水のごとく流れちゃいますもん。妹には感謝しています。
子育て面からも感じる、地域との強いつながり。
――妹さんの存在は、子育てにおいても大きいですか?
なんかもう、うちの子と妹の子をみんなで育てる感じですね。近所のおじさんが毎日ご飯作ってくれていて。
――おじさん、ですか。
ある喫茶店の常連だったおじさんなんだけど、すごくおせっかいで、家族のような感じで赤ちゃんの時から保育園の送り迎えも行ってくれてました。
柏って地元の喫茶店仲間っていうのがあって、常連さんたちのテリトリーがあるんですよ。それで喫茶店でコミュニティーができてるんです。団塊世代の人たちって時間もいっぱいあるし。
おじさんっていうのは、私のママのそういう喫茶店仲間の中の一人だったんです。
そのおじさんが、ご飯作るのも子供の面倒見るのもすごい好きだからって、いまだにうちに入ってきてたけのこ煮といたぞーとか、肉じゃが作ったぞーって持ってきてくれて。
お母さん、旦那、おじさん、妹、私、保育園の先生って子供を泊めてくれるとこがいっぱいあって、どこでも預かってくれる。
地域社会で子育てする、っていう感じですね(笑) そうしないと女性は仕事できないですよ。
――浅野さんの巻き込み力はすごいですね。寛容といいますか、こんなもんでいいじゃん、というところも、いい意味で大事なんだなって思います。
ある意味、几帳面な人は無理でしょうね。
もうね、頼るね、人に。すごく頼ってます。
もちろんただでやってもらってるわけじゃないですよ。でもね、やっぱり孫に毎日会えないわけじゃない、70とかの人たちって。お節介したいんですよね。
可愛いじゃないですか、赤ちゃんって。それで、こっちが頼って、頼られたら嬉しいんだと思うんです。
いま子供が11歳(5年生)なんですけど、子供がまだ小さい頃は夏場なんか昼間から水浴びさせてくれてさ、うんちしたらお尻洗ったりだとかさ、夏はザリガニとかカブトムシ取りに連れてってくれたりとかさ、たけのこ堀りとか、自然にも触れさせてくれるし、そういうのを経験させてくれるのは、すごくいいことだと思います。赤の他人でもね。
だからね、すごいですよ。息子は全然虫も触れるし、山ん中に道がなくてもどんどん入っていけるし、すごく強くなりました。
そういうのは、おじちゃんおばちゃんが教えてくれないと、今の子たちって学べませんよね。今のお母さんたちって、山ん中なんて入れませんもん。そういう貴重な経験をさせてもらっています。
浅野美紀さんインタビュー
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