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音楽仲間と飲む、一杯のビールのために。(1)南部 一樹さん / DOMe柏


南部一樹さん40歳。ライブハウス密集地である柏で、もっとも新しく、勢いのあるロック系のライブハウスDOMe柏の経営者だ。広島出身の音楽青年は、どうして柏に音でつながる場を作ったのか――

たまたま仕事場を見つけた柏に、居ついたんです(笑)

僕、広島出身なんですけれども、広島時代にバンドをやってたんです。で、地元の大学通って卒業するくらいになってまあ、就職するのかしないのかみたいな話で悩んで。音楽の業界自体は景気よかったんで、何かしら音楽に携わる仕事をしたいなって思ってたんですけど、広島で探すとやっぱりプロダクション関係はないんですね。でも、音響の仕事がたまたまあったんで、そこに弟子入りというか通い始めて、それからですね、音楽を仕事っていうのは。

それまでは、プロになりたくてバンドやってたんですけど、すぐに気付いて。実力がないっていうことに。それで裏方にシフトしていった。始まりはそうですね。

――音響の仕事に2000年くらいから携わって、関東に出てこられたのはいつごろですか?

西の人間は、東京に行くの結構癪なんですよ、最初。それで、海外に行ったんです。ワーキングホリデーに行って、そこでキャリアアップしてから帰ってきた方が東京でも活躍できるかなって思って、カナダに行って、アメリカでレコーディングを勉強して2年ぐらいですかね。それから東京に帰ってきたんですけど、最初に入ったところは、思ったのと違うみたいな、よくある感じですぐやめてしまって。

でも食っていかなきゃいけなくて、まあ中継ぎみたいな感じで、たまたま柏に縁があったというか仕事場を見つけて。それでたまたま入ったんですけど、人間関係、友達とか、出てるバンドとか環境がよくて、まあなんとなく居つくことになりまして(笑)

――柏に来られた時は、どなたかお知り合いの引きがあったんですか?

いや、本当にネットで、何でもいいから収入があるところみたいに探したんですよ。音響エンジニアってことですぐに来てくれ、来週からって言われました。

その時に知り合った仲間と自分たちでやろうか、って話になって、そこでは僕が一番年上だったんで、一応代表ということで始めました。

――そこで開いたのが、南柏にあったライブハウス、Drunkard’s Stadiumですね。

はい、2007年ですね。Drunkard’sは完全にゼロから立ち上げたんです。立ち上げたのは3月だから、そこから数えたら今は9年目ですね。

――そこからこちらに移転されてDOMeを開かれたのはいつですか?

2013年の11月です。やっぱり、震災がきっかけなんですよ。震災を機に、オーナーがこのビルはもう崩すんでって言い出したんです。まあ出てってくれっていうか、いくらか保障みたいなのをもらって引っ越してくれないかってなって、その資金でこっちに来たんです。

――その時には、次もまた柏でって決めてらしたんですか?

そうですね。もうこっちで、柏でやろうかなっていうのしかなかったです。柏っていうのを選んだのは、やっぱりDrunkard’s時代から出てくれてるミュージシャンが柏周辺の人が多かったですからね。

Drunkard’s Stadiumの場所って、すごい広かったんですよ。それでまあスタジアム、面白いんじゃないみたいな感じで名前をつけたんです。でも、文字が多いじゃないですか。移転したとき、4文字ですむような、外にあるああいう看板作りたかったんですよ。4文字ですむっていうのと、スタジアムの次って言ったらドームでしょみたいな感じで決めました(笑)

やっぱり大事なのは、アピールと挨拶。

――前のお店は南柏でしたが、柏駅の近くに移られてどうですか?

まあメジャーな駅ですからね。なるべく、駅から近いところがいいなと探しました。来るお客さんが車持っていない人もいるんで、やっぱりライブハウスは駅近がいいんです。

――この場所けっこういいとこだと思うんですけど、物件探しは苦労されましたか?

一カ月くらいですかね、でも。そういう時はずうっと、すごくチェックするんですよ、物件を。不動産屋の表に出てなくても直に行ってみたらあったりするんです。で、ここはなんとYahoo! の不動産で見つけました(笑)

ライブハウスは音の問題があるんで、僕は一棟貸しがいいかなと思っていたんです。横は結構止まるんですけど、上は防音難しいんですね。例えば一階に塾とか入ってて、地下にライブハウス開いて、結果出てってくれみたいな案件も結構あるんですよ。

だから、丸ごと借りて、レコーディングスタジオも一緒にできるようにしようと思ったんです。

当時ここは、別々に貸してたんですけど、一棟バンって借りることになったらオーナーさんにも結構通り易かったりするんです。

――内装とかはどんな雰囲気づくりを狙ったんですか?

まず、ポスターを貼りまくる(笑)これ剥いじゃうと、美容院みたいになっちゃうんですよ、真っ白で(笑) なるべく清潔感出しつつ、ごちゃまぜ感を出したい。そういうので雰囲気できてくるかな、って思ってます。

この辺のむき出しのダクト、実は僕がやったんです。広島時代に水道屋と電気屋やってたんで… 全然金がなかっただけなんですけど、素人っぽいですよね(笑)

――いやいや、これはDIY感もありつつ、かっこいいじゃないですか! でもそういうところで節約しても、やっぱり一棟お借りになって、そこにまた防音とか、機材とかっていうとお金は…

お金むちゃくちゃかかります(笑) 

まああれですよね、起業には必要ですからね、お金の借り方。

最初、現金を借りるのは難しいじゃないですか。資本金がやっぱり必要で、現金ではこれだけってことだったら、担保以外の資産もいる。

Drunkard’sを開いたときは最初に、付き合ってた防音屋さんから、中古の防音扉を買ったんですよ。20~30万小遣いで。で、それがまあ価値的にはもう何百万のものなので、それを現物資産ということにして(笑) 親に借りたりもして、1000万くらいは資本がある。

で、そこからは作文ですよね。これだけ実績があって、これだけ収益が見込めるみたいなことを書いて、まず会計士のところに行って納得させて、それから銀行です(笑) いきなり銀行行っても、門前払いですからね。

このときは、市の起業支援みたいなのを使ったんです。一応まずちゃんと銀行から借り入れて申請すると、毎月払ってる利子を年に一回補給してくれるんです。結果的にほぼ利払い0%みたいな感じになる5年間の利子補給、それがなんか通って。

作文けっこう上手いんです(笑) アピール力だと思いますよね。だって僕、何もなかったですから。

PRの一つはもちろん、柏に密着して地元のバンド応援していきたいみたいなことを。それから誰でも知ってるようなメジャーな名前を出す。

嘘は書いちゃダメなんですけど、実際、当時そういう仕事もやっていたので、こういう大手企業ともつながりありますよっていう風に、こんなこと書く必要ないだろみたいなところまで、なるべく具体的に書きます。文は口語体でまあしっかりしてないと思うんですけど、分かりやすく納得してもらえるように、数字もすごい細かく書いて。はい。アピールです。

――ライブハウスっていう業態っていう部分で、開業には色々な手続きが大変だったりしたことはありますか?

消防と保健所。消防は結構厳しかったですね。窓がない建物を無窓階っていうんですが、窓のあるなしで必要な設備が変わってくるんです。地元のつながりの大工さんの紹介でプロの防災屋さんを呼んで、そこを聞いて勉強しながら届け出をやりました。素人では難しいですね、やっぱり。火事になって死人が出ると大変なことですから、消防が一番ひっかかるところなんです、ライブハウスは。

――ライブハウスっていうことで、周囲の商店街や住人からの風当たりも強かったりしたんでしょうか?

うーん、ぶつかりはないですけど、やっぱり大事なのは挨拶ですね。隣におばあさんが一人住んでるんですけど、暑い日とかちょっと見に行ったりしますからね。大丈夫ですか、みたいな(笑)

あと、道で顔合わせれば景気どう?みたいにおっちゃんとかも聞いてくるんで、「儲かってないです」って言って(笑)

やっぱり挨拶。夏祭りの時とか、チャンスなんですよ、これは。全部挨拶行かせて。迷惑おかけしてますけどって…色々言い訳しながら(笑)、そこは上手くやってますね。

そういうコミュニケーションがないと、たぶん出てけ!運動が始まっちゃうんですよ。全国的にやっぱりそうです。お客さんが店の前にたまったりして苦情が来ちゃって、それで潰れちゃう店もいっぱいありますからね。

うちは店の前には一人つけて、お客さんがたまらないようにはしてます。この通りがもともと飲み屋街だったのもあって、そこまでは煩くない場所ですから、最初は警戒して電話かかってきたりしてましたけど、今はそういうトラブルは全くないですね。

南部一樹さんインタビュー

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